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システム金融とは?危険性と対処法を解説

2021.12.17 闇金


中小企業の経営者や個人事業主などの中には、資金繰りに苦しく、手形などを担保に高金利で借入してしまい、その後も次から次へ高利貸し業者を紹介されてしまったりして返済に困っている方も多いのではないでしょうか。

このような場合、借入をしている相手は闇金の一つの手口である「システム金融(シス金)」である可能性があり、一刻も早く対応をする必要があります。

この記事では、システム金融というものがどのようなものか解説します。

システム金融とは

システム金融の正確な定義はありませんが、企業・個人事業主を相手にして、手形などを担保にとり、違法な金利で貸付を行う違法業者のことをいいます。

実務では省略して「シス金」ということもあります。

システム金融の特徴

闇金であるシステム金融には次のような特徴があります

企業相手の違法貸金業者

システム金融が狙うのは、中小企業や個人事業主などです。

資金繰りに困っている事業者を狙って融資を持ちかけ、困りきった事業者に救いの手かのように忍び寄ります。

事業者の情報は、ホームページやFAXなどから入手しています。

違法な金利で貸付を行う

システム金融は闇金です。

そのため、違法な金利で貸付を行います。

利息の上限については利息制限法・出資法が上限を年20%と定めており、特に出資法に違反する高金利で貸付を行うと、刑事罰の対象となるものです。

手形などを担保にとる

闇金は一般的に脅迫まがいの取り立てを行うことが知られていますが、システム金融の最大の特徴は、事業者相手に手形や小切手を担保にとり貸付を行うことです。

これらを担保に貸付を受けることはありますが、通常は倒産による連鎖倒産などのリスクを考えて、返済条件について話し合い、場合によっては手形の支払日が違う手形を改めて担保にいれること(いわゆるジャンプ)などを検討します。

システム金融は、そのような事情に関係なく、手形を交換して搾取を図ります。

昨今では、売掛債権を担保に貸付を行う「ファクタリング」を名乗って、貸付を行うシステム金融もありますので注意が必要です。

融資が早い・簡単

通常、会社・個人事業主が貸金業者からお金の融資を受ける際には、非常に綿密に審査が行われるため融資に時間がかかります。

システム金融は、担保さえ受け取れば確実に回収できるため、審査・融資までの期間は非常に短く、簡単に融資を受けることができます。

特定するのが難しい

システム金融は、他の闇金同様に特定が難しいです。

闇金やいわゆるオレオレ詐欺などの特殊詐欺はグループで行われることがほとんどで、一人が逮捕されると芋づる式にグループ全員が逮捕されます。

そのため、特定できないような行動をとります。

例えば、勧誘のFAXに住所の記載をしない(虚偽の住所の記載をする)・電話をしても転送されて折返し電話がかかってくる、手形の郵送先が局留めである、などがあります。

システム金融の一連の手口

システム金融はどのような手口で貸付から回収までを行うのでしょうか。

システム金融が顧客を探す主な手口は、会社・個人事業主のFAXに融資する旨の案内を流すことです。

ホームページなどでメールアドレス開示している会社も多いので、Eメールが連絡手段として使われる場合もあります。

会社・個人事業主などの事業者の貸付については、通常は代表者が貸付担当と面談しますが、システム金融は表に出てくることなく、書類のやりとりはすべて郵送などでやり取りがされます。

返済期日にシステム金融は手形交換を行いますので、債務者は当座預金にきちんと入金をしておかなければならず、決済できなかった場合は不渡りを起こすこととなります。

このような時期を見計らって、別のシステム金融を装って貸付を行い、2件3件と貸付を繰り返させ、限界まで搾取するのがシステム金融のよくある手口です。

システム金融は違法行為

システム金融は違法行為なのですが、どのような法律に触れていて、罰が課されるのかを確認しましょう。

まず、貸付金利の上限を規定する利息制限法・出資法は上限利率を年20%としており、いわゆるトイチの年利は365%と大きくこれを超えます。

2つの法律は利息制限法が民事上の効力を規定しており、出資法5条の違反には5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金(併科もできる)という刑事罰が課されます。

また、このような貸金業者を営むためには登録が必要なのですが、システム金融は登録を行わずに営業していることがほどんどで、その点については刑事罰の対象となります(貸金業法11条・貸金業法47条2号)。

システム金融のような違法金融には返済する義務はない

民法708条は、犯罪行為などの不法な原因で給付した物については、返還請求をすることができない旨が規定されています(不法原因給付)。

システム金融の融資は不法原因給付に該当します。そのため、システム金融については利息はおろか、元本すらも返還する義務はありません。

ただ、そうは言っても手形は着々と決済されることになるので、きちんと対策をする必要があります。

システム金融から借金するリスク

システム金融から借金をした場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

手形・小切手が不渡りになるリスク

システム金融は高金利で貸付を行い、10日ごとの早いサイクルで手形を交換して回収を図ります。

資金繰りが苦しいからこそ借りたのであれば、このような無理な支払いが必要となると再度資金繰りに窮します。

その結果、担保に取られた手形・小切手が不渡りになるリスクがあります。

手形・小切手を半年のうちに2回不渡りにすると、銀行取引停止処分となり、倒産は避けられません。

多重債務に陥るリスク

手形・小切手の不渡りを回避するために、頑張って返済しようとするあまり、ありとあらゆる金策を行った結果、多重債務となるリスクがあります。

法人の代表者や役員などが個人で借入をすれば、会社も個人も多重債務となって、倒産・債務整理が避けられなくなります。

システム金融から借金をした時の対処法

万が一システム金融から借金をした時にはどのような対処方法があるのでしょうか。

まずはシステム金融の利用をやめる

まずはシステム金融の利用をやめるための行動をとります。

今ある債務を完済できるのであれば、完済してしまいます。

このときに、システム金融は口座情報を持っているので、後述する押し貸しなどの危険がありますので、可能であればその口座は閉じて、別の口座を利用すべきです。

手形の不渡りについての異議申立を行う

手形交換所に回された手形が決済できないことを「不渡り(ふわたり)」といいます。

不渡りがあると銀行は不渡届を交換所に提出します(東京手形交換所規則63条1項)。

この不渡りには3つの種類があります。

0号不渡りは、手形が手形としての形式を備えていないため決済できない場合です。

なお、0号不渡については不渡届の提出は不要です。

1号不渡りは、手形を決済する資金がなかったり、そもそもその銀行との当座預金の取引がない場合をいいます。

2号不渡りは、1号不渡以外の不渡をいい、手形を振り出した原因となった契約について債務不履行があったり、手形が詐取された、紛失した、盗難にあった、偽造・変造の被害にあった場合です。

システム金融にお金を借りて手形を担保にした場合、原因となるお金を借りたこと自体が無効となるため、その手形の決済をしないのは2号不渡りとなります。

6ヶ月以内のうちに2回不渡があると、取引停止処分となってしまい(東京手形交換所規則65条)、その日から2年手形を振り出すための当座預金の取引をすることができなくなります(東京手形交換所規則62条2項)。

ただ、2号不渡りである場合には、不渡りとならないように手形交換所に対して異議申立を行うことが認められており、この異議が通れば不渡りとならないようになっています。

この異議申立をする際には、振り出しをした手形の券面額と同額の金銭の異議申立提供金の積立をする必要があります。

もし、支払期日に資金繰りが回復し、異議申立提供金の積立ができる状況になっている場合には、この異議申立を活用しましょう。

警察に相談をしても解決しないケースが多い

システム金融は出資法に違反する犯罪行為だとお伝えしました。

では、システム金融の被害にあった場合に、警察に相談をして対処してもらうことはできないのでしょうか?

このようなケースでは、警察はシステム金融に注意をしてくれることがあっても、実際に手形が決済されるまでは動かない可能性があります。

また、民事不介入として一切取り合わない可能性もあります。

弁護士・司法書士に相談をする

異議申立も結局は異議申立提供金の積立ができる場合に限られてしまいます。

多くの場合には、その異議申立提供金の積立すらできない資金繰り状態に陥っていることが予想されます。

このような場合には、弁護士・司法書士に相談・依頼をして、システム金融対策をしてもらうことが良いでしょう。

手形・小切手などの受け渡しがあるなどで、システム金融は通常の闇金よりも居場所が判明する可能性が実は高いです。

そのため手形を交換所に回さないようにしたり、場合によっては返金をしてもらえる可能性があります。

システム金融以外の被害を受ける可能性もある

システム金融の利用をしている、システム金融を検討したことがあるような人が陥りやすい、別の被害についても併せて知っておいて下さい。

その他の闇金

システム金融は闇金の一種ですが、システム金融は基本会社・個人事業主に貸すものです。

資金繰りが苦しいときには、会社として借りるかだけではなく、個人名でも借入をしてなんとか資金繰りを改善しようとします。

システム金融とつながっている他の闇金がいるようなケースだと、資金繰りに窮することを察知すると、他の闇金に情報を流して借りさせるように仕向けることもあるでしょう。

会社代表者や個人事業主が借入をするケースでは、取引先に関する情報を手に入れると、取引先に督促をする可能性があり、これによって取引先からの信用を失ってしまう可能性が高いといえます。

闇金も解決には弁護士・司法書士への相談が欠かせません。

押し貸し

システム金融への返済ができたとしても、システム金融は口座の情報を持っています。

これに利用して、融資が必要な局面でも無いのに買ってにお金を振り込み、回収を迫る「押し貸し」というものがあります。

一度違法業者との取引に使われた口座は閉じて別の口座を利用するなどを検討しましょう。

融資詐欺・保証金詐欺

借り入れをするにあたって審査が必要であるとして、審査料・保証料を要求してくるようなケースがあります。

これに従って実際に振り込むと、その後連絡がとれなくなってしまうのが融資詐欺・保証金詐欺です。

システム金融や闇金からの借り入れ件数が増えてきて、当たり前のように借りようとして被害にあうことが多いので注意が必要です。

まとめ

このページでは、システム金融についてお伝えしました。

手形や小切手が徐々に使われなくなってきていますが、依然として使う会社にとっては、重要な資金決済手段であることに変わりはありません。

なるべく早く専門家に相談して、問題を解決しましょう。


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