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闇金からの借金は返済不要?対処法や相談先を解説

2022.01.09 闇金


コロナ禍で生活費の工面や企業の資金繰りが悪化し、闇金に手を出す人が少なからずいます。

しかし「闇金から借りたお金は返済しなくてもいい。」と聞くことはないでしょうか?確かに最高裁の判決で返済義務がないと示されています。

ここでは、借金を返さなくもいい理由や返済不要でもやってはいけないことなどについて解説します。

闇金からの借金を返さなくもいい理由

闇金から借入をすると、通常の金融機関と同じように元本と利息の返済を求められます。しかし、元本と利息どちらも返済が不要とされています。ここでは、どちらも返済不要の理由を解説します。

違法に高い利息は払わなくてもいい

闇金業者は、法外な利息を取り立てます。

たとえば、「トイチ」と呼ばれる10日で1割の利息や「トニ」と呼ばれる10日で2割の利息など、法律に違反しているケースがほとんどです。

貸金業法では、金利の上限が定められています。金利の上限を定める法律は「利息制限法」と「出資法」があります。

「利息制限法」は、元本が10万円未満で年率20%、元本が10万円以上100万円未満で年率18%、元本が100万円以上で年率15%となっています。

「出資法」の改正前は、利息制限法と出資法の上限29.2%の間である、いわゆる「グレーゾーン金利」と呼ばれていた二つの法律で金利差が生じていました。

しかし、平成22年6月18日の出資法改正でグレーゾーン金利は撤廃され、上限金利が20%に引き下げられました。

したがって、貸金業法の上限金利は、利息制限法などと同じ年20%と定められています。

利息制限法の上限を超えると行政処分の対象になり、超えた部分は無効となります。

出資法では、年20.0%の上限を超えると刑事罰があり、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこれの併科に処せられます。

個人間で年109.5%を超えた利息で貸し付けた場合は、10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金または併科に処せられます。

一方、闇金の法外な利息を年利率に置き換えると、トイチは、年利365%、トニは、年利730%となります。

このように闇金から借りたお金の利息は、法律に違反しているので取り立てに応じる必要はありません。

すでに支払っている分については返金を求めることもできます。

闇金業者からの借金は元本も返済不要という判例も

前述の通り、法外な利息は支払う必要がありません。

また利息だけではなく、元本も返済不要となっています。

その根拠には、最高裁の判決があります。

闇金業者が高利で貸し付けることは、道徳に反する醜悪な行為で民法708条の不法原因給付に該当すると判断されています。

(参考:最判平成20年6月10日「損害賠償請求事件」

不法原因給付とは、不法な原因に基づいて行われた給付のことです。

民法708条は、以下の通りです。

「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。」

つまり、不法な原因に基づいて貸付を行った闇金業者は、その返還をすることができないということです。

闇金の行為は犯罪であり、様々な違法行為により刑が加重される場合もあります。

そもそも、闇金業者は完済を望んでいない

闇金業者の被害に遭う人は、お金に困っていて消費者金融からも借りられない人や責任感が強い人が多いことが特徴です。

したがって「闇金とわかったとしても、必ず返さなければならない。」などと責任感が生じるため、闇金業者からすると格好のターゲットとなるわけです。

そもそも返済の見込みがない人や利息を払えない人には、お金を貸すはずがありません。

また、闇金業者は完済を望んでいないと考えられます。法外な利息を延々と支払ってもらうことを目的としているためです。

完済させないようにする悪質な手口で、期日まで返済ができなかった際は執拗な嫌がらせで相手を追い詰めます。

元本返済不要でもやってはいけないこと

闇金業者が法外な利息を要求しても、その行為は不法原因給付に該当し返済に応じる必要はないことを解説しました。

また、最高裁の判決で元本も返済不要との判断が示されているので、元本と利息どちらも返済不要です。

しかし、返すつもりがなく、闇金から借り続けるということは別の犯罪にあたる可能性があり、注意が必要です。その理由をそれぞれ解説します。

借り逃げは犯罪になってしまう可能性がある

闇金業者の高利で貸し付ける行為は、不法原因給付にあたり返済不要ですが、最初から返すつもりがないのに借入れをすることは、詐欺にあたる可能性があります。

刑法上の詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と規定されています。(刑法246条1項 )

詐欺罪については、未遂であっても罰せられます。(刑法250条)

また、民法1条2項では「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」と規定されています。

借り逃げをする行為は、権利行使を信義に従い誠実に行っているとは言えません。

闇金業者を敵に回すと危険

最高裁の判決で元本と利息の返済不要と示されたので、闇金業者に借入れをしても大丈夫という安易な気持ちで利用するのは非常に危険です。

闇金業者は悪質な取り立てを行い、利用者に対して精神的に追い詰めます。中には、反社会的勢力との関わりがゼロではありません。

闇金業者からの嫌がらせを受ける前に法律の専門家に相談することが大切です。

過酷な取立ての例4つ

闇金業者の取り立ては、悪質かつ執拗な迷惑行為を続けることがあります。ここでは、よくある取り立てについて解説します。

催促の電話

闇金の取り立てで最も多いパターンは、執拗に電話をかけてくることです。

期日までに返済がない場合、態度が豹変し脅迫まがいの電話が何度もかかってきます。

場合によっては、生活に支障が出るぐらいずっと電話が鳴りっぱなしということもあります。

電話に出ると、返済させるように執拗に迫ります。闇金業者の電話には一切出ないようにしましょう。

実家や会社にも電話が来る

業者から個人情報を入手していた場合は、実家や会社にも連絡が来る可能性もあります。

例えば、返済の期日が遅れると自宅まで行って回収する、家族にも知らせて取り立てる、職場に電話をかけるぞと脅すなど、様々な内容で精神的に追い詰めるような電話をかけます。

また、勧誘の電話でも申し込みをしたら先に数万円支払うよう請求される、断るとキャンセル料を要求されるといった電話もあります。

自宅に闇金業者がおしかける

最近は少なくなりましたが、返済の期日が遅れると自宅に押しかけて取り立てを行う業者もいます。

例えば、周囲に迷惑をかけるほど大きな声を出して、ドアを強く叩いて返済を要求するケースもあります。

騒いでるため、近隣から苦情が入り精神的な負担は非常に大きくなります。

しかし、すぐに玄関を開けると暴力を受ける可能性もあり、場合によっては包丁などの武器を持っていることも否定できません。

他にも滞納していることを理由に高額な手数料を要求してくる可能性もあります。

あの手この手でお金を要求するので、闇金業者の言いなりにならないようにしましょう。

執拗に嫌がらせをしてきたとしても、絶対に玄関を開けてはいけません。

逃げられなくなったり、ケガをしたりする可能性もあります。

消防車や救急車を呼ばれる

嫌がらせ目的で緊急車両である消防車や救急車をわざと呼び、周囲に迷惑をかけることを行います。

消防や救急は、本当か嘘であるかの確認はいたしません。住所を伝えれば至急、現場へ向かいます。

その他、出前やネット通販で大量の商品を注文し送りつけるといった悪質な嫌がらせもあります。

近所や友人に借金をバラされる

近所に借金をしていることを知らせるかのように張り紙をたくさん貼ることもあります。

中には、利用者の名前とお金を返すように書かれた張り紙が貼られることもあり、周囲にも借金をしていることが知られてしまいます。

また、ポストにも同じような内容が書かれた紙を投函されることもあります。

このような取り立てを止めるために、返済しなければならないという心理的に追い詰められることもあります。

闇金被害の相談先

闇金被害に遭ったら、自分で解決することが難しくなります。法律の専門家などに相談するが対処方法として有効です。

それぞれの相談先を解説します。

警察に相談する

警察に相談するというのもひとつの方法ですが、まずは被害届を出すところから始めます。

しかし、すぐに動いてくれるとは限りません。

なぜなら、闇金業者の所在地が不明で、固定電話を設置していることがなく、捜査や摘発が難しくなるためです。

また、基本的に事件が発生した地域の交番に被害届を提出しますが、闇金業者の所在地が不明であることがほとんどですので、交番で対応してもらえないこともあるかもしれません。

闇金業者が自宅に押しかけて、脅迫まがいの言動や暴力を振るうなど、緊急性の高い状況であれば、すぐに110番通報をしましょう。

刑法上の脅迫罪に該当する場合は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。(刑法第222条)

暴行罪に該当する場合は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられます。(刑法208条)

一方、緊急性が高くない場合は、全国共通の相談窓口として警察相談専用電話「#9110」があるので、相談してみるのもひとつの方法です。

弁護士・司法書士に相談する

法律の専門家である弁護士や司法書士であれば、依頼者の代理人として適切な対応をしてもらえます。

身元が特定できれば、貸金業法や出資法違反で逮捕につながる可能性もあります。

貸金業を営む際には、貸金業法の規定で貸金業の登録が必要になります。

しかし、貸金業の登録をしていない場合は、貸金業法違反として、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金、または併科が科されます。

ひとりで悩まずに被害に遭ったら法律の専門家である弁護士や司法書士に早めに相談することをおすすめします。

法テラス

弁護士事務所や司法書士事務所を相談する際は、相談料や依頼した場合の着手金や報酬に関する諸費用が発生します。

そのような場合は、法テラスに相談するのもひとつの方法です。

法テラス(正式名称:日本司法支援センター)は、法務省所管が設立した、総合法律支援法に基づき、国民向けの法的支援サービスを提供しています。

具体的には、紛争解決に役立つ法制度の情報提供や民事法律扶助などです。

民事法律扶助というのは、経済的に余裕がない人に対し弁護士や司法書士費用等の立替えを行っていただけるサービスです。

ただし、収入や資産の額などの一定の条件があります。

闇金の被害に遭っていて、相談する費用がない、弁護士事務所に相談するのが不安な人は、法テラスに問い合わせをしてみるのもひとつです。

まとめ

本記事では、闇金からの借金を返さなくもいい理由や元本返済不要でもやってはいけないこと、闇金被害の相談先などについて解説しました。

貸金業法では金利の上限が定められ、出資法の上限を超えると刑事罰が科せられます。

そもそも闇金業者からの借金は、民法708条の不法原因給付に該当し元本や利息の返済が不要として、最高裁の判決で示されています。

しかし、最初から返すつもりがないのに借入をすることは、詐欺にあたる可能性があります。

返済不要との理由から、闇金業者に借入をしても大丈夫という安易な気持ちで利用するのは非常に危険です。

闇金業者は悪質な取り立てを行うこともあります。実家や会社に電話したり、場合によっては、自宅に押しかけることもあります。

こうしたトラブルになる前に、法律の専門家である弁護士や司法書士であれば、根本的な解説が期待できます。

脅迫まがいの言動や暴力を振るうなど、緊急性の高い状況であれば、警察に通報しましょう。


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