自己破産・個人再生相談所 お役立ちコラム 闇金
自己破産・個人再生などの事例や実績などを紹介して、より分かりやすく、自己破産・個人再生にして解説します!
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2021.12.23 闇金
突然090の知らない番号から電話がかかってきて、「債権譲渡を受けたので以後こちらに返済して欲しい」「利息は10日に1割だ」などと言われて、どうしたらいいかわからない…とお悩みではないですか?
10日に1割の利息を請求してくるのは、闇金の特徴を持っている者なのですが、債権譲渡をされるようなことがあるのでしょうか。
このページでは闇金に債権譲渡されるようなことがあるのかについて、闇金のような者が債権譲渡を受けたと請求してくる場合の対処法と併せて確認しましょう。
そもそも債権譲渡とはどのようなものでしょうか。
債権譲渡とは、債権者が債権を他の人に譲渡することをいいます。
人に何かを請求することができる権利のことを債権と呼んでおり、人にお金を払って下さいと請求できる権利のことを金銭債権と呼んでいます。
債権は譲渡禁止特約を結んでいない限りは他の人に譲渡することが可能で、この譲渡のことを債権譲渡と呼んでいます。
債権譲渡は、新しく債権者と債務者の間に契約をするものではなく、もともとあった債権をそっくりそのまま譲渡します。
そのため譲り受けた債権の内容は、当初の債権のままです。
利息の取り決めがあれば、譲り受けた人も元々の利息に拘束されますし、抵当権がついているような場合には、譲り受けた人が抵当権も譲り受けます。
債権譲渡は譲り渡す人から債務者に対して債権譲渡をした旨の通知をすることで行います。
譲り受ける人からの通知だけでは、譲り受けたことを自称しているだけの可能性もあるので、必ず譲り渡した方からの通知が必要です。
この通知は通常は内容証明で行います。
まずは通常借金をしているときにどのようなケースで債権が譲渡されるか確認しましょう。
一つは債権回収会社(サービサー)に譲渡がされる場合です。
債権回収会社は債権を譲り受けて回収のみを行う会社です。
債権の会社を外部に任せる場合、弁護士に依頼をするのが基本でしたが、不良債権回収の処理が必要になった時期に特例として認めたのが債権回収会社(サービサー)です。
貸金業者もM&Aで他の会社と合併するなどする場合があります。
これらの場合に、債権が新しい会社に移るようなことがあります。
借金をする際に、保証会社が保証をしていることがあります。
返済ができなくなるとこれらの保証会社に返済を求めることができ、保証会社はこれに応じなければなりません。
そのため、保証会社は債務者に代わって支払いをします。
保証人であった保証会社は支払いをすることによって本人に支払った額の取り戻しを請求することができます(求償権)。
これによって保証会社という新しい債権者が本人に対して請求をしてきます。
闇金が債権譲渡を受けたとして請求してくることは可能なのでしょうか。
まず、債権回収業務は、弁護士法72条に規定されている法律事務であり、基本的には弁護士のみができます。
債権回収会社が、債権譲渡を受けて回収業務をすることができるのは、「債権管理回収業に関する特別措置法」という法律で特別に認められているからです。
そして、「債権管理回収業に関する特別措置法」で債権回収が認められるためには、法務大臣の許可を得る必要があります。
これを闇金が個人でやっているような場合には、弁護士法・債権管理回収業に関する特別措置法違反で犯罪となるものです。
闇金は正規の業者として債権譲渡を請求できるわけではありません。
それでも債権譲渡を主張して請求してくるのは、債権譲渡を仮装した詐欺である可能性が非常に高いといえます。
闇金は貸し付けをしなければ返済を迫ることができませんが、債権譲渡を仮装すれば自分は支払いをせずに請求することができるようになると考えている可能性があります。
債権譲渡となる元の債務について心当たりがあるような場合には、このような詐欺にも引っかかってしまう可能性は否定できません。
闇金によっては回収の方法として闇金で借りたお金を別の闇金に債権譲渡をしたと主張して請求してくることがあります。
事実上このような形での主張をして請求をしてくることがあるのですが、闇金からお金を借りる契約が公序良俗に違反するものとして、無効であるので(民法90条)、そもそもその債権が譲渡されたと主張することにも法律上の根拠がないことになります。
正当な債権回収会社からの請求なのか、闇金かを見分けるコツとしては次のようなところから判断しましょう。
債権回収会社が法務大臣から許可を得る際には、会社の情報をきちんと届け出て行なわれています。
そのため、債権回収会社が回収を謀るときには、送る書面に氏名(会社名)、住所(所在地)などがきちんと記載されています。
一方で闇金は、検挙されないために固定電話を持たずに営業をしています。
そのため、連絡手段が固定電話か携帯電話か、という違いが生じます。
債権回収会社は法務大臣の許可を得て営業をします。
このとき、許可番号が割り振られます。
許可番号と許可を得た法人名・住所・電話番号は、法務省のホームページに掲載されています。
(法務省:債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧)
督促の書面には必ずこれらの情報を記載して送ってくるので、正当な債権回収会社なのかを確認することができます。
闇金は当然ですが立場を公にできるものが一切ありません。
では、次は闇金から借りて取り立てを受けているときに他の闇金に債権譲渡をすると言ってきた場合はどうなるのでしょうか。
闇金から借りた場合について、闇金との契約は出資法・利息制限法・貸金業法をはじめとした様々な法律に違反するものです。
そのため、このような公序良俗に違反するような契約については、民法90条で無効とされます。
前述したとおり、債権譲渡は元々の債権の内容のままで、新しい債権者にうつるものです。
そのため、法律上無効となる債権を譲渡しても、なお無効であるままです。
たとえ、債権回収会社が闇金から債権を譲り受けたとして請求してきた場合でも、これを拒否することが可能です。
もっとも、そのことを債権回収会社も分かってはいるので、闇金からの買い取りを引き受けるようなことはまずありません。
闇金から借りた分について、別の闇金が債権譲渡を受けたとして取り立てをしてくることはあります。
闇金は通常数名のグループで行動しており、その情報はグループ内で共有されていることが多いです。
そのため、とある闇金がたくさん督促をしなければならないような場合に、手の空いている闇金が督促を受け持つために、債権譲渡をしたと主張することがあります。
法律上は闇金からの借り入れは無効で、別の闇金に譲渡されたところで有効になるわけではありません。
また闇金から借りた元本については、不法原因給付(民法708条)として返還をする必要もありません。
そのため、闇金が法律上請求をできる根拠は何一つ無いのです。
しかし、闇金はそのようなことを知っていてなお請求をしてくるので、適切な対応が必要となります。
闇金が債権譲渡を受けたなどと主張して支払いを求めてくる場合にはどのように対応するのが良いのでしょうか。
まず、闇金が債権譲渡を受けたと主張してくるお金は、たとえば携帯電話・スマートフォンで利用しているサービスの未払い分として主張してきたりする程度で、ほんの数万であるようなことも珍しくありません。
これくらいなのであればさっさと支払ってしまえば終わるのではないか?と思う方も多いのですが、実はこれによって終わらない可能性もあります。
というのも、額が少ないからと少し脅せばさっさと支払ってくる相手であると、闇金に知らせてしまうような行為に他ならないからです。
一度支払うと、別の支払いそうな債権譲渡を受けたと次々に主張してくることが予想されます。
また、闇金はこの時点で銀行口座の情報を把握しています。
そのため、そこに一方的にお金を振り込んできて返済を求める、いわゆる「押し貸し」をしてくることがあります。
親族や職場など知られたところに徹底的に攻撃されることから、支払ってしまったら良いではないかと援助をしてもらえることもあるのですが、逆効果になる可能性もあります。
そのため、まずは絶対に返済しないというスタンスを取ることが重要です。
闇金は出資法違反・貸金業法違反で、これらには刑事罰が課されている犯罪行為です。
また、闇金が債権譲渡を受けたとして、回収業務の代行を始めることは、弁護士法・債権管理回収業に関する特別措置法違反で犯罪となるものです。
闇金がこれらの犯罪を犯しながら営業をしているというのであれば、警察に相談すれば解決をしてくれないのでしょうか。
実は警察がこういった問題を根本的に解決してくれることはほとんどありません。
最近の闇金は携帯電話・スマートフォンのみでできる範囲での貸付・督促しか行いません。
そのため、どこで活動しているか、どのような活動をしているかといった情報を掴むのが難しく、検挙が非常に難しいのです。
そのため、他の人も含めて被害が相次げば、捜査の対象になることはあっても、今すぐ目の前の闇金の請求をとめるために適切な対応をしてもらえないのが現状です。
実際には、闇金にその場で普段連絡を取っている携帯電話から督促をやめるように警告してもらえることが多く、場合によっては民事不介入の原則を理由に全く対応してくれないことも珍しくありません。
警察で対応してもらえたとしても、夜になったら再度闇金から督促がきていたり、それこそ別の闇金が再度債権譲渡を受けたなどと主張して督促をしてきたりするようなことも珍しくなく、永遠に対応が終わらないこともあるのです。
一時的に督促をとめることは可能でも、抜本的に解決をしたいのであれば、警察に相談をするだけでは不十分といえます。
闇金が一番恐れるのは、督促につかう携帯電話の利用停止措置をされることや、貸付や返済につかう銀行口座の凍結です。
闇金をするために、正規のルートで携帯電話を手に入れることや、銀行口座を開設することはできません。
そのため、闇金はこれらを高いお金を支払ったり、自分の顧客を脅して送らせたりすることで取得をします。
弁護士・司法書士が介入をしてもなお取り立てをやめないような場合には、携帯電話の利用停止処分・銀行口座の凍結を徹底的に行うことになります。
そのため、多くの場合では弁護士・司法書士に依頼された段階で、闇金は督促をやめることがほとんどです。
弁護士・司法書士に依頼するためには費用がかかります。
しかし、闇金被害のようなものについては弁護士・司法書士は無料で相談を受け付けており、依頼のための費用も分割での支払いにしてもらうことができます。
なるべく早く弁護士・司法書士に依頼をしましょう。
このページでは闇金が債権譲渡を受けたとして主張してくるような場合についてお伝えしました。
債権譲渡をうけるためには弁護士法・債権管理回収業に関する特別措置法などの規制があります。
闇金はもともと法律を遵守することはありませんので、このような法律に従わない形で種々の請求をしてきます。
解決のためにはいち早く弁護士・司法書士に依頼をするようにしましょう。