親などの遺産を相続したとき、被相続人である親が借金していたら、その借金も相続してしまいます。
支払をしたくない場合には、一般的には「相続放棄」をしますが、
自己破産する場合にも、借金はなくなります。どちらも同じ効果のように思えますが、何が異なるのでしょうか?
そこで今回は、借金を相続したときの相続放棄と
自己破産の違いについて、解説します。
相続放棄とは
そもそも、相続放棄とはどのようなものなのか、ご存知でしょうか?
これは、自分が法定相続人になっているときに、遺産の一切を相続しないことです。
すべての遺産を相続しないので、借金などのマイナスの負債を相続せずに済みますが、預貯金や不動産などのプラスの遺産も相続できなくなります。
たとえば、父親が借金だけを残して死亡した場合などには、相続放棄が有効です。
これに対し、
自己破産は、自分の借金のすべての支払い義務を無くしてもらうための手続きです(ただし、税金などの一部の支払は残ります)。
自己破産をすると、基本的に全ての借金の支払い義務がなくなるので、相続した借金も支払わなくて良くなります。
また、自分の財産も、基本的に失われます。相続した遺産がある場合に自己破産すると、財産は失われてしまいます。
なくなる借金の範囲
それでは、相続放棄と自己破産は、どこが違うのでしょうか?
まず、なくなる借金の範囲が違います。相続放棄の場合、相続しないで済むのは被相続人の借金だけです。自分の借金がもともとある場合、その借金はそのまま残ります。
これに対し、自己破産をすると、自分の借金も相続した借金も、すべて含めてなくなります。そこで、相続前から借金をしていた人は、相続放棄よりも自己破産をすべきです。
財産がなくなるかどうか
次に、財産がなくなるかどうかも異なります。相続放棄の場合、被相続人の財産は相続できなくなりますが、自分がもともと持っている財産に影響はありません。
これに対し、自己破産をすると、相続した遺産はもちろんのこと、自分がもともと持っていた財産も基本的にすべて失われてしまいます(ただし、生活に最低限必要な財産は残ります)。
そこで、自分の財産を失いたくない人は、自己破産をしてはいけません。
期限の違い
相続放棄と自己破産は、期限にも違いがあります。自己破産には期限がないため、いつでもできます。これに対し、相続放棄は「自分のために相続があったことを知ってから」3ヶ月という期限があります。
具体的には、被相続人が死亡したことと(先順位の相続人が相続放棄した場合はその事実)、何らかの遺産があることを知ってから3ヶ月以内に「相続放棄の申述」という手続きをとらなければなりません。
そこで、相続放棄を期限内にできなかったときには、借金を免れるため自己破産せざるを得なくなることがあります。
司法書士にご相談いただけましたら、相続放棄も自己破産もお手伝いいたします。お困りの際は、是非ともご相談ください。