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自己破産すると慰謝料はもらえなくなる?

2015.06.10 自己破産


交通事故の被害者になったなどの場合は、慰謝料請求権という権利が発生することになります。
では、この慰謝料請求権を持っている人が自己破産するとどのような影響を受けるのでしょうか?

慰謝料の財産としての性質について

自己破産を申し立てようとしている人が交通事故や暴行などで相手方への慰謝料請求を得た場合、これは財産として扱われるのでしょうか?
慰謝料というのは、法律的には「一身専属権」と呼ばれています。一身専属権というのは、その人独自の権利であり、その人でなければ行使できないとされるものですから他人に譲渡したりすることができません。破産管財人も自己破産者が「請求しない」と言えばそれに対して行使を強制することはできないのです。
しかし、さらに掘り下げて考えると、慰謝料請求権は「行使上の一身専属権」という類型に分けられています。扶養請求権のような「帰属上の一身専属権」は、どこまでいってもその人独自の権利とされますが、行使上の一身専属権はいったん行使された後には通常の債権と同じように扱われます。ですから、慰謝料請求を行って協議により金額が確定してしまえば破産財団に組み入れられ、配当すべき財産として取られてしまうことになります。

示談の時期は慎重に

上記のように、慰謝料請求権その金額が確定することによって通常の債権と同様の扱いがされることになるので、自己破産手続き前や手続中に示談がされれば破産財団の一部を構成するものとなり、債権者に配当されてしまうことになります。
しかし、破産手続きが始まった後に得た財産は「新得財産」といって破産者が持っていてよい財産ということになります。確実にするのであれば示談を行い、慰謝料の金額を確定させるのは破産手続終了後にした方がよいといえます。

自由財産拡張により手元に残せることもある

破産手続き開始前にもし慰謝料の金額が確定してしまった場合は原則として慰謝料の金額は債権者に配当すべき財産として破産財団に組み入れられてしまいますが、すべてを必ず取られるとは限らず、事案によっては「自由財産拡張」の申立手続によって財産を残せることもあります。
自由財産拡張とは、債務者の生活再生のためにどうしても配当に充てずに残した方が良いと考えられるものを、裁判所に申し立てて残してもらうことです。


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