自己破産・個人再生相談所 お役立ちコラム 自己破産
自己破産・個人再生などの事例や実績などを紹介して、より分かりやすく、自己破産・個人再生にして解説します!
自己破産・個人再生などの事例や実績などを紹介して、より分かりやすく、自己破産・個人再生にして解説します!
2015.06.07 自己破産
自己破産をきっかけに夫婦関係が破たんして離婚に至った、などのケースは時折みられることです。
では、破産した配偶者はもう一方の配偶者に財産分与をすることができるのでしょうか。
常識的な範囲を超えた財産分与は無効となる
たとえば、夫の借金のことで家庭不和になり、最終的に自己破産となった場合、妻としては自分には財産分与を請求する権利がある、と考える人もいるはずです。また、どうせ債権者に取られるのであれば妻に財産分与として渡してしまった方が良い、という考えで多額の預金や不動産の名義を変えてしまう人もいます。
しかし、これは債権者を詐害する、言い換えると債権者の権利を侵害している行為であるため、あまりにも行き過ぎた財産の移転はそれ自体が無効になってしまうことがあるので注意が必要です。
破産手続きの趣旨はもちろん債務者の経済的再生ですが、それと同時に各債権者にいかにできる限り平等な配当をするか、債務者の不当な財産隠しを見逃さないかということも裁判所は考えています。ですから、破産手続きに近い時期にされた不自然な財産移転については見逃されることはないといってよいでしょう。あまりにも背信的な行為があれば免責不許可になる危険性もあります。
どの程度だと過大な財産分与といえるのか
破産の前後にした財産分与はどのくらいなら過大であるといえるかは、その家庭によっても異なります。もともとの年収や資産が異なるため、一概にいくら以上、という基準を設けることは難しいのです。
基本的に結婚後に夫婦で築いた財産は共有財産とみなされますので、2分の1以上を贈与すると常識的な範囲を超えているとみられる危険性があります。マイホームが主要な財産である夫婦が不動産の名義を換えたりすることは「過大」とされる典型的な例といえるでしょう。
離婚が先だったらどうなるのか
たとえば、離婚によって財産分与の内容を具体的に決定し、その後で支払い義務のある配偶者が破産した場合、どうなってしまうのでしょうか。
これについては「配当すべき財産の中から他の債権者と債権額の割合によって分け合う」ということになります。なぜなら財産分与請求権は内容の確定によって他の債権者と同じように金銭債権になっているからです。
ですから、財産があっても全額は受けられない可能性も高く、財産がまったくなければ0ということもありうるということです。