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自己破産して免責許可を受けても自然債務は残る!?

2015.09.26 自己破産


「免責される」という意味は2つある

自然債務という言葉は法律に慣れない人にとってはあまり聞いたことのない言葉でしょう。
自然債務というのは、債務そのものは存在するが、履行の責任を伴っていない債務のことをいいます。つまり、債務者が任意に履行しなかった場合に、債権者側が裁判などで強制的に履行させることはできないのです。しかし、債務者側が任意に履行した場合は有効な給付として扱われ、債権者側が不当に利得したわけではないので返還する必要はないということです。
債務が免責されるということの意味を法律的に考えた場合、2つの意味に分かれます。つまり、「債務そのものがなかったことになる」のか、「債務はあるが、弁済する責任が消滅するだけ」なのかということです。
自己破産に伴う免責は前者の「債務消滅説」なのか、それとも後者の「自然債務説」なのか、2つの見解があります。

それぞれの説が主張する根拠

2つの見解にはそれぞれの根拠があります。
「債務消滅説」の根拠としては、自然債務説を取ってしまうと、たとえ免責されたとしても自然債務が残っているという言い分を使って債権者が破産者への事実上の取り立てを継続し、自己破産によって再生しようとしている債務者の再生の妨げになるので、単純に債務そのものが消滅するとした方が妥当であるということがあります。
「自然債務説」の根拠としては、自己破産により免責を受けた債務者であっても自発的な意思や道義的な理由で債権者に弁済をすることがあり、これが社会的にも妥当である場合があることを挙げています。
法律家が各事例の判断をする際によく使われる基準として、過去の判例がありますが、判例でとっているのは「自然債務説」です。つまり、破産手続きが終了した後で任意に弁済するのは構わないという扱いがされています。

破産手続き中に勝手に弁済しない

上記のように、自己破産手続き後は債務は「自然債務」となりますので、任意に弁済することまでが禁じられるわけではありません。
しかし、自己破産手続きがまだ終わっていないうちに弁済することは「偏頗弁済」といって、一部の債権者を不公平に扱っているとみなされて手続の進行に影響します。最悪の場合、免責不許可になることもありうるので決して偏頗弁済はしないようにしましょう。
親戚、知人など、どうしても今後の人間関係を考慮すると弁済しておきたい人もいるでしょう。しかし、あくまで「自己破産の手続すべてが終わってから」「返済の約束をしない」「周囲に対し、おおっぴらにしない」ということを心得た上で弁済するようにしましょう。


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