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司法書士の代理権の範囲とは

2016.03.19 任意整理


・司法書士と弁護士、何が違うの?

債務整理を業務として合法的に行えるのは弁護士、司法書士だけです。

NPO法人その他いろいろな名称を名乗る団体がいかにも債務整理をできるように広告していることもありますが悪徳業者も多いため気をつけたいものです。

では、弁護士と司法書士ではどんな違いがあるのでしょうか。

弁護士は破産や個人再生の手続きにおいては「代理人」となれますが、司法書士の場合は手続き自体の「代理人」ではなく、「書類作成代理人」という立場になります。

これだけではピンとこないでしょうが、要するにいざ裁判所から呼び出されて審尋(いろいろと尋ねられること)などがあった際に本人の代わりに答えることができるか否かという点で違いがあるくらいです。

実際には書類作成した後の提出や各種の対応もやってくれますし、依頼者本人としてあまり差を感じることはないかも知れません。

・140万円という金額が分かれ目になる

どの手続きにおいても、依頼者の目から見たら弁護士と司法書士の差を感じる場面はあまりないでしょう。手続き終了までの流れでは、ほとんど両者のやっていること自体に変わりはないからです。

ただ、大きな分かれ目になるのが「140万円」という金額です。140万円を超える事件については司法書士には代理権がないとされているのですが、140万円とはどの部分を基準にしているのかということで、日本弁護士連合会(日弁連)と日本司法書士会連合会(日司連)で異なる解釈をしているからです。

日弁連は140万円というのは借金の額のことで、全債権者の総額で140万円を超えていたら司法書士は代理できないと解釈しています。これに対し、日司連は、140万円とは引き直し計算によって減額された金額のことであり、借金自体が140万円を超えていてもよく、また1社ごとに140万円を超えているかどうかを判断するとしています。

多少うがった見方をすれば、弁護士会としては司法書士の権限をできるだけ狭く解釈して、弁護士の職域を守ろうとしており、逆に司法書士会は司法書士の権限をできるだけ広く解釈して、司法書士の職域を守ろうとしていると言えるでしょう。

 

・代理権についてはまだ曖昧な部分も多い

上記のような問題点については、地方裁判所のレベルで判決が出されている部分もありますが、まだ明確な結論が出ているとは言いがたく、司法書士は日司連の代理権の解釈に従って動いている状況です。

ただ、力量という点から言えば、弁護士だからすべて司法書士より優れているのかというと実際にはそうではないこともあります。

その専門家の力量を決める一番のポイントは「経験値」だからです。

弁護士でも債務整理にあまり慣れていないところもあり、司法書士でも非常にバリエーションに富んだ案件を経験してきたところもあり、決してどちらが上とは一概には言えません。

借金問題について相談する事務所を決めるときは、その事務所のホームページなどをよく読んで、「その専門家がどの程度の知識・経験を持っているのか」を自分の目で確認することが大切になるでしょう。


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