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闇金が持ちかける口座・携帯買取は違法!危険性と対処法

2022.01.08 闇金


闇金業者が返済の代わりに銀行口座や携帯電話の買取を要求してくることがあります。

この急な提案に戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。

しかし、闇金業者が銀行口座や携帯電話の買取をなぜ持ちかけるのでしょうか?

ここでは、その手口や買取を行う理由、違法性などを解説します。

闇金による口座・携帯買取の手口

闇金業者が銀行口座や携帯電話の買取を要求してくる場合があります。なぜ闇金業者は、買取にこだわるのでしょうか?ここでは、その手口について解説します。

口座の場合

闇金業者は、銀行口座を手に入れようとします。口座買取と呼ばれていますが、どのような目的があるのでしょうか?それぞれ見ていきましょう。

口座買取

口座買取は、闇金業者の違法行為などにより口座凍結されることを嫌がります。凍結された場合は、すぐに別の口座を用意できるように買取を行います。

その手口は「通帳やカードを落としたことにすればいい」などと伝えたり、「キャッシュカードを高く買います」「銀行口座を作るだけで3万円稼げる」などです。

また、返済が遅れている利用者に対して、返済の代わりに口座を要求する場合もあります。

主なターゲットは、闇金を利用する多重債務者や収入が少ない主婦や学生、フリーターなどが多いです。

闇金業者は、特定の口座を持ちません。闇金の利用者や口座買取で入手した口座を用いてお金のやり取りを行います。

口座レンタル

闇金業者は、口座買取だけではなく「口座レンタル」という手口も利用します。

口座レンタルは、銀行口座を一時期にレンタルできるように求めます。

口座レンタル専用の掲示板やTwitter、InstagramなどのSNSを利用して、口座レンタルのターゲットを探します。

中には「月◯◯円お渡ししますので、口座レンタルさせてください」といった投稿が見られます。

携帯の場合

闇金業者は、口座買取だけでなく携帯電話の買取も行う場合もあります。

その手口は「返済が遅れるなら携帯電話を買い取る。」「信用情報の審査のため、携帯電話を送ってください。」などと、携帯電話を要求します。

最近では、スマートフォンだけでなくタブレット端末やゲーム機にも被害が及んでいます。

闇金が口座・携帯買取を行う理由

闇金業者はなぜ銀行口座や携帯の買取を行うのでしょうか?その理由を解説します。

詐欺用の口座として使う

銀行口座を開設してそのまま闇金業者に譲渡すれば、詐欺罪に問われる可能性があります。

一方、以前から持っていた銀行口座を闇金業者に譲渡すれば、預金口座等の不正利用防止法違反となります。

預金口座等の不正利用防止法では、他人になりすまして口座を利用する目的で預金口座(預金通帳、キャッシュカード等)の譲受および相手にその目的があることを知った上で行われる譲渡は、50万円以下の罰金に処せられます。

闇金には携帯が必須

闇金業者の違法な貸金ビジネスは、所在地を明かさず携帯電話のみで勧誘や貸付を行っています。

したがって携帯電話は不可欠であり、営業活動で必須アイテムとなります。

以前の闇金業者は、対面で貸付を行っていましたがインターネットの普及により、携帯電話での営業がほとんどです。

ただし、悪質な取り立てを行う闇金業者であれば、家まで押しかけるケースもあります。

闇金は携帯の利用停止処分されやすい

闇金業者は法外な金利での貸付や悪質な取り立てを行っているため、身元がバレてしまうのを恐れ、自分の携帯電話を使用しません。

こうした闇金の被害に遭った利用者が警察に連絡することもあります。

通報を受けた警察は、警察署長の権限により、携帯電話会社に契約者の本人確認を求めることができます。(携帯電話不正利用防止法 8条)

携帯使用者が契約者確認に応じない場合は、サービスの停止等の措置をとることができます。

携帯詐欺グループと繋がっている

闇金業者は、オレオレ詐欺や振り込め詐欺などの特殊詐欺グループと繋がっている可能性があります。

このような犯罪組織は、警察の検挙から逃れるために本人が特定されない携帯電話「飛ばし携帯」を使用しています。

他人の携帯電話を入手するため、買取などのあらゆる手段を尽くします。

携帯電話買取詐欺の手口は以下のパターンがあります。

  • 信用情報の回復として携帯電話を分割で購入させる

    闇金からの審査が通過したものの、信用情報が良くないため回復させる目的として携帯電話を分割で購入するように求められます。
  • 最新のスマートフォンやタブレットの購入を求められる

    闇金業者は、信用情報回復のためとして、最新のスマートフォンやタブレットの分割購入を求めます。

  • 購入したスマートフォンやタブレットを買取業者に売ることを求められる

    購入したスマートフォンやタブレットを指定の買取業者に売るように求められ、宅急便等で郵送することになります。

このときに、高値で売れることを伝えられるかもしれません。

ここまで、信用情報回復のためにスマートフォン等を分割ローンで購入しましたが、実際は買取業者や闇金業者からお金が振り込まれることはありません。

闇金業者に電話をしても、まともに答えてくれることはありません。

場合によっては、態度が豹変するか、繋がらなくなることもあります。

口座・携帯買取の違法性

闇金業者の口座・携帯買取は、違法行為です。ここでは具体的にどのような違法性があるのかを解説します。

口座買取の場合

口座買取では、どのような犯罪になってしまうのかをご紹介します。

詐欺罪

前述の通り、銀行口座を開設してそのまま闇金業者に譲渡すれば、詐欺罪に問われる可能性があります。

刑法上の詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と規定されています。(刑法246条1項 )

詐欺罪は、未遂であっても罰せられます。(刑法250条)

詐欺罪の構成要件は、欺罔行為、錯誤、交付行為、財産の移転です。

闇金業者に譲渡したり売却することを目的に口座開設を行うということは、銀行員に対して伝えるはずがありません。

自分で口座を使用すると嘘の利用目的を伝えるはずです。これにより、銀行員も利用者が自分のために利用すると誤信します。

したがって、銀行員を錯誤に陥らせて、通帳を交付させ、交付行為に基づく財物の移転したときに詐欺罪が成立します。

最高裁の2つの判決では、以下のように示されています。(裁判要旨)

他人名義で預金口座を開設し,それに伴って銀行から交付される場合であっても,刑法246条1項の財物に当たると解するのが相当である。

 他人に成り済まして預金口座を開設し,銀行窓口係員から預金通帳の交付を受ける行為は刑法246条1項の詐欺罪に当たる。
(参考:最判平成14年10月21日「住居侵入,窃盗,有印私文書偽造,同行使,詐欺,建造物侵入被告事件」

預金通帳等を第三者に譲渡する意図であるのに,これを秘して銀行の行員に自己名義の預金口座の開設等を申し込み,預金通帳等の交付を受ける行為は,刑法246条1項の詐欺罪に当たる。
(参考:最判平成19年7月17日「詐欺被告事件」

どちらの判決も詐欺罪に該当すると判断しています。また、最判平成14年10月21日の判決は、預金通帳が刑法246条1項の財物に当たると明確に示されています。

犯罪収益移転防止法違反

既に持っている銀行口座を以下のように悪用すると、犯罪収益移転防止法違反となります。

  • 預金口座を売買した者
  • 他人になりすまして預金口座を利用する者
  • 他人に使用させる目的で預金口座を譲り渡し、交付し、または提供した者
  • 正当な理由がないのに、有償で預貯金通帳等を譲り受ける

これらの犯罪収益移転防止法違反は、刑事罰の対象になります。

1年以下の懲役もしくは、100万円以下の罰金、または併科など。

携帯買取の場合

携帯買取の場合も口座買取と同様に犯罪行為にあたります。

詐欺罪

携帯電話買取詐欺では、闇金業者だけでなく闇金の利用者も詐欺罪に問われる可能性があります。

なぜなら、前述のように信用情報を回復するために携帯電話等を分割購入し、指定の買取業者に売ってしまっているからです。

つまり、自分で使用するつもりがないのに携帯電話を契約することは、不正な理由で携帯電話を購入したということになり、販売店から騙し取ったと解釈することができます。

よって、携帯電話販売店に対する詐欺罪が成立します。

実際に同様の手口が警視庁のホームページにも記載されています。
(参考:警視庁「携帯電話等を販売店からだまし取る行為は犯罪です!」

携帯電話不正利用防止法違反

携帯電話不正利用防止法は、携帯電話等が悪用されるのを防ぐことを目的としており、携帯電話等の契約・譲渡時の本人確認を義務付けています。

携帯使用者が本人確認に応じない場合は、サービスの停止等の措置を取ることができます。

携帯電話不正利用防止法違反は、以下の罰則が規定されています。

  • 50万円以下の罰金

・携帯電話の契約時に氏名、住居及び生年月日について嘘の申告
・自己が契約者となっていない携帯電話等を譲渡

  • 2年以下の懲役または300万円以下の罰金

・携帯電話等事業者の承諾を得ずに業として有償譲渡
・自己が契約者となっていない携帯電話等を業として譲渡

その他、匿名の者に対する携帯電話等のレンタル営業についても罰則があります。

口座・携帯買取を行うリスク

口座・携帯買取は、闇金業者だけでなく闇金を利用した側も罪に問われる可能性があります。

あなたが逮捕される可能性がある

上記で説明したように、自分で使用する目的ではなく、銀行口座を開設してそのまま闇金業者に譲渡したり、信用情報を回復するために携帯電話等を分割購入し、指定の買取業者に売ってしまっているなどの場合は、詐欺罪に該当します。

これらは違法行為であることから、最悪の場合はあなたも逮捕される可能性があります。

口座凍結の可能性がある

銀行口座が悪用されると、口座凍結の可能性があります。

よって、譲渡した本人は、新規で銀行口座を開設できなくなります。

同時にクレジットカードも利用できなくなります。

返済義務がなく、口座・携帯買取に応じる必要もない

闇金業者を利用しても、法的には闇金から借りたお金を返す必要はありません。

その根拠は、最高裁の判決にあります。

闇金業者が著しく高利で貸し付けた場合は、反倫理的行為として民法708条の不法原因給付に該当すると判断されています。

(参考:最判平成20年6月10日「損害賠償請求事件」

不法原因給付とは、不法な原因に基づいて行われた給付のことです。
つまり、不法な原因に基づいて、著しく高利で貸付を行った闇金業者は、その返還をすることができません。

したがって、法外な利息と元本どちらも返済義務を負わないということになります。

ただし、円満解決を図るため、受け取った金額の限度で返済するというケースもあります。

段階ごとの対処法

ここでは、口座・携帯買取の段階ごとの対処法を解説します。

①口座・携帯買取を持ちかけられている

口座・携帯電話を譲渡さえしなければ、悪用されることはありません。強い気持ちで断るようにしましょう。被害が深刻化する前に弁護士や法テラスなどに相談しましょう。

②口座・携帯買取に応じてしまった

被害を最小限に抑えるため、できるだけ早く口座と携帯電話を解約することが大切です。解約の際に闇金業者に譲渡してしまったことを伝えておきましょう。

③口座凍結や携帯の利用停止処分を受けた

口座凍結や携帯の利用停止処分を受けた場合は、自分で解決することは困難になります。弁護士や司法書士に相談すると、闇金業者と交渉を行っていただけます。

これで本人に直接連絡が入ることはなく、解決に向けて進めてもらえます。

まとめ

本記事では、口座・携帯買取を行う理由や違法性、リスクなどを解説しました。

銀行口座を開設し、闇金業者に譲渡すると口座買取にあたり、詐欺罪に該当します。

最近では、銀行口座を一時期にレンタルを求める「口座レンタル」という手口も存在します。

口座・携帯買取は、闇金業者だけでなく、闇金の利用者も逮捕される可能性があります。

また、口座買取が銀行や警察に知られると銀行口座が凍結され、新規で口座を開設できなくなります。

口座・携帯買取に応じてしまったら、早めに解約をしましょう。すでに被害が出ている場合は、弁護士や法テラスなどの法律の専門家に相談することが大切です。


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