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闇金が家族を取り立てたらどうする?対処法と返済義務の有無

2021.12.21 闇金


闇金を利用して返済の期日が遅れてしまうと、闇金業者が厳しい取り立てを行うケースがあります。

そのため、利用者の返済が滞ると、家族にも取り立てが来ないかとても不安になります。

そこで今回は、取り立てが家族に及ぶ原因、具体的な取り立て方法や対処法などを解説します。

取り立てが家族に及ぶ原因

闇金の被害に遭った場合、利用者への取り立て以外に家族に及ぶことがあります。ここでは、その原因について解説します。

契約書類に家族の連絡先を記入した

契約書類は、利用者個人に関する項目だけではありません。

万が一、利用者と連絡が取れなかった場合に備えて、闇金業者はあらゆる個人情報を得ようとします。

その一方で、利用者は言われるがままに個人情報を記入しがちです。

契約書類に家族の連絡先を記入した場合は、取り立てが家族に及ぶことがあります。

返済を待つ代わりに家族の連絡先を聞き出された

闇金の利用者が返済の期日に間に合わない場合、闇金業者が返済を待つ代わりに家族の連絡先を聞き出すこともあります。

また、家族の連絡先以外にも職場や親戚の連絡先を聞き出すケースもあるので注意しなければなりません。

SNS等で個人情報が流出した

何らかの原因でSNS等で個人情報が流出したケースが考えられます。

SNSでは、闇金業者が突然ダイレクトメッセージで「お金を貸します、ブラックOK」などと送信したり、「#即日融資」「#個人融資」「#お金困ってます」など、ハッシュタグをつけて融資希望者を募ります。

闇金の利用者がSNSで「お金がない」「お金を借りたい」といった趣旨を投稿すると、闇金の被害に遭う可能性があるので、こうした使用に注意が必要です。

一方、闇金利用者がFacebookを使用していることがわかると「職場にばらすぞ」「知人にも督促する」など、厳しい取り立てを示すメッセージが届く場合もあります。

なぜなら、実名登録されているのでプロフィールから職場や友人関係を把握できるためです。Facebook独自のシステムを利用した取り立てに十分注意しなければなりません。

具体的な取り立て方法

闇金業者は、あらゆる手段で取り立てを行います。

取り立ては執拗で非常に激しいものであり、利用者の生活に支障が出る場合もあります。

ここでは、その具体的な取り立て方法について解説します。

頻繁な嫌がらせ電話

闇金業者は、時間を問わず執拗に電話をかけてきます。

もちろん、返済が遅れている場合は早朝や深夜にも頻繁に電話がかかってきます。

「早くお金を返せ!家族にも知らせるぞ!」
「お前の職場を知っている、回収に行くぞ!」
「返済しないと、お前は詐欺になる」

などと、個人情報を利用した脅迫まがいの電話をかけてくることもあります。

頻繁に嫌がらせ電話をかけることで、利用者を精神的に追い詰めていきます。

家族の会社への連絡

闇金利用者の勤務先だけでなく、家族の勤務先へ督促の電話がかかってくる場合もあります。

闇金の業者間で個人情報を共有しているため、督促の電話以外にも融資に関する勧誘や一方的にダイレクトメールが届くこともあります。

また、家族の勤務先へ頻繁に電話がかかってくると、会社側にも迷惑がかかり、社内での立場に悪影響を及ぼす恐れもあります。

あまりにも多く電話がかかってくると、会社が別の理由を付けて解雇する可能性も否定できません。

子供の周辺での迷惑行為

利用者に子どもがいる又は親戚に子どもがいる場合に、闇金業者が学校の情報を入手し、子供関係周辺で嫌がらせを行うことがあります。

たとえば「学校に取り立てに行く!」と電話がかかってきたり、ネット上でありもしない悪口を拡散させる行為です。

場合によっては、子どもの下校時を狙い、親に借金があることを伝えて周囲に知られる可能性があります。

この状況を見た生徒が親に伝えたり、子供へのいじめが生じたりするかもしれません。

さらに別の親族の情報を要求

闇金業者の悪質な取り立ては、親族以外にも兄弟夫婦に取り立てを行うケースもあります。

2003年6月には、大阪府八尾市で主婦、夫、兄と3人で「悪徳業者に引っかかってしまった」などと遺書を残して、JR関西線の踏切に飛び込み自殺する事件が発生しています。

主婦は、親族の入院費が重なり「090金融」から借り入れを行っていたということです。

この事件をきっかけに、無登録業者への罰則を「5年以下の懲役または1000万円以下の罰金」に引き上げることなどを柱とするヤミ金融対策法(改正貸金業規制法と改正出資法)が施行されました。

(参考:日本経済新聞『八尾ヤミ金事件、元幹部22日時効 遺族「怒り消えぬ」』
(参考:西日本新聞「ワードBOX」

債務者、家族ともに返済義務はない

闇金業者はあらゆる手段で取り立てを行いますが、法的には闇金から借りたお金を返す必要はありません。

法外な利息と元本も返済不要となっています。その根拠には、最高裁の判決があります。

闇金業者が著しく高利で貸し付けた場合は、反倫理的行為として、民法708条の不法原因給付に該当すると判断されています。

これにより、闇金業者からの不当利得返還請求は許されません。

(参考:最判平成20年6月10日「損害賠償請求事件」)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=36427

不法原因給付とは、不法な原因に基づいて行われた給付のことです。

「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。」
(参考:「民法708条」)

つまり、不法な原因に基づいて著しく高利で貸付を行った闇金業者は、その返還を請求することができないということです。

したがって、法外な利息と元本どちらも返済義務を負わないということになります。

闇金業者が著しく高利で貸し付けた場合は、不法原因給付に該当しますが、最初から返すつもりがないのに借入れを行うと、借り逃げとなり詐欺にあたる可能性もあります。

刑法上の詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と規定されています。(刑法246条1項 )

詐欺罪については、未遂であっても罰せられます。(刑法250条)

闇金相手の電話は無視しない

闇金業者からかかってくる電話に恐怖を感じ、着信拒否や電話に出ないようにしようと考える人がいます。

しかし、電話を無視し続けると、逆に電話の回数が増えて取り立てがエスカレートすることもあります。

また、闇金業者は1台の携帯電話で着信拒否をされたとしても複数の携帯電話を所持しているため、別の電話からすぐにかけてきます。

無視をし続けても闇金業者の怒りを買い、家に直接取り立てにくるなど、さらに被害を拡大しかねません。

一旦取り立てが止んでも、忘れた頃に再発する場合もあります。

いずれにしても、闇金業者の電話を無視し続けることは被害の拡大につながる恐れがあります。

家族に闇金の取り立てが及んだら

闇金業者が悪質な電話や家に押しかけるなど、あらゆる手段で取り立てを行い、家族にも取り立てが及んだら、すぐに対策を考えなければなりません。

ここでは、その対処法を解説します。

まずは返済をやめる又はしない

前述の通り、闇金業者が著しく高利で貸し付けた場合は、反倫理的行為として、民法708条の不法原因給付に該当します。

その根拠は、最高裁の判決で法外な利息と元本も返済不要との判断が示されています。

まずは、返済をやめる又はしないことが重要です。

闇金業者からの執拗な電話や自宅への押しかけがあってたとしも、決して返済してはなりません。

弁護士・司法書士に相談

法律の専門家である弁護士や司法書士に相談すると、闇金業者と交渉を行ってもらえます。

具体的には、司法書士・弁護士が依頼者の代理人となり、今後は、司法書士・弁護士に対してのみ連絡をするように通知をすることを闇金業者に伝えます。(受任通知)

これで本人に直接連絡が入ることはなく、解決することが多いです。

なぜなら、司法書士や弁護士が介入すると闇金業者の都合が悪くなるので、面倒なことになるなら他の人から取り立てを行うという考えになるためです。

また、貸金業を営む際には、貸金業法の規定で貸金業の登録が必要になります。

当然、闇金業者は、無登録営業で固定電話を設置せず、所在地を明かしていないことがほとんどです。

貸金業の登録をしていない場合は、貸金業法違反として、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金、または併科が科されます。

闇金業者は違法行為とわかった上で著しく高利で貸し付けているので、弁護士・司法書士が介入すると都合が悪くことは明らかです。

一方、弁護士事務所や司法書士事務所を相談する際は、相談料や依頼した場合の着手金や報酬に関する諸費用が発生することを忘れないようにしましょう。

初回の相談料は無料のケースもありますが、弁護士事務所によっては30分5000円というところもあります。

経済的な事情で弁護士・司法書士に相談する費用が用意できない場合は、法テラスに相談するのもひとつの方法です。

法テラス(正式名称:日本司法支援センター)は、法務省所管が設立した、総合法律支援法に基づき、国民向けの法的支援サービスを提供しています。

具体的には、紛争解決に役立つ法制度の情報提供や民事法律扶助などを行っています。

民事法律扶助というのは、経済的に余裕がない人に対し弁護士や司法書士費用等の立替えを行っていただけるサービスです。

ただし、収入や資産の額などの一定の条件があります。

闇金の被害に遭っているが、相談する費用がない、弁護士事務所に相談するのが不安などであれば、法テラスに相談してみることをおすすめします。

警察への相談

自宅へ押しかけてきたり、自宅の前で暴れて脅迫まがいの言動や暴力を振るうことがあれば、警察に連絡しましょう。

刑法上の脅迫罪に該当する場合は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。(刑法第222条)

暴行罪に該当する場合は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられます。(刑法208条)

スマートフォンやインターホンに映像が残っていれば、証拠として残しておくことが大切です。証拠があれば、警察がスムーズに動ける可能性もあります。

緊急性が高くなくても、警察の生活安全課から闇金業者に電話を入れてもらうのもひとつの方法です。

まとめ

本記事では、取り立てが家族に及ぶ原因や具体的な取り立て方法や対処法などを解説します。

取り立てが家族に及ぶ主な原因は以下の通りです。

  • 契約書類に家族の連絡先を記入した
  • 返済を待つ代わりに家族の連絡先を聞き出された
  • SNS等で個人情報が流出した

特にSNSを通じて流出すると、瞬く間に拡散する恐れがあるので十分注意しなければなりません。

闇金業者の具体的な取り立て方法は、早朝・深夜問わず執拗な電話や家族の会社への連絡、さらには子供の周辺での迷惑行為まで及ぶ可能性もあります。

子どもに対して嫌がらせを行うと、学校でいじめが生じる可能性もあります。

もっとも、闇金業者が著しく高利で貸し付けた場合は、反倫理的行為として民法708条の不法原因給付に該当します。

したがって、利息と元本どちらも返済する必要はありません。最高裁の判決で示された判断です。

それでも闇金業者からすでに被害が遭っている場合は、早めに法律の専門家である弁護士や司法書士に相談しましょう。

今後は、司法書士・弁護士に対してのみ連絡をするように受任通知を闇金業者に送ります。

これで解決できる可能性が高くなります。

とはいえ、自宅へ押しかけてきたり、自宅の前で暴れて脅迫まがいの言動や暴力を振るうことがあれば、警察に連絡しましょう。

映像が残っていれば、証拠として残しておくことが大切です。


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