自己破産・個人再生相談所 お役立ちコラム 闇金
自己破産・個人再生などの事例や実績などを紹介して、より分かりやすく、自己破産・個人再生にして解説します!
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2021.10.31 闇金
巧妙化する闇金の勧誘ですが、その手口は変化し続けています。
最近では「銀行口座に身に覚えのないお金が振り込まれている。」などといった経験はないでしょうか?
もしかしたら「押し貸し」の手口なのかもしれません。ここでは、押し貸しの特徴や手口、被害の対処法などを解説します。
押し貸しとは、貸す側が強引にお金を貸し付ける行為を指します。
借りる意思がないにも関わらず現金を手渡したり、勝手に銀行口座に振り込みます。
その後、法外な利息を請求するという悪質な手口です。
近年、闇金やソフト闇金業者が押し貸しを用いて返済と高い利息を求めるケースが社会問題化しています。
押し貸しは、過去に闇金を利用したことがある人や現在の利用者に対して行われていることが多いです。
手口としては、以下の通りです。
つまり、勝手にお金を振り込み、後から請求するというのが押し貸しの手法です。
支払いが遅れると、高圧的な態度でしつこい取り立てや嫌がらせのような手法でお金を支払わせようと悪質な行為で迫ります。
闇金などの違法業者が押し貸しするには、何らかの原因があります。ここでは、押し貸しが行われる原因について解説します。
悪質な業者は、ランダムに選んで振り込みをしているわけではありません。
前述の通り、過去に闇金を利用したことがある人は、押し貸し被害を受けやすくなります。
なぜなら、過去の取引で住所、銀行の口座番号や連絡先(電話番号、SNSなど)などを把握されているためです。
このように闇金業者は、過去に取り引きのある顧客から効率よく法外な利息を取ることを目的としているため、押し貸しを行っていると考えられます。
また、過去に何らかの詐欺被害に遭った人は、押し貸しのターゲットにされる可能性が高くなります。
業者間でいわゆる名簿販売業者のようなところから顧客情報を入手するケースもあるでしょう。
例えば、近年急増しているフィッシング詐欺に遭った人は、口座番号や暗証番号などを知られている可能性もあります。
さらに、インターネットを通じた取引では、知らない相手に口座番号を教えることもあります。
ネットオークションやフリマアプリを利用している方は注意しなければなりません。
個人を装った違法な業者がSNSなどを通じて、高金利で貸付けを行っているケースです。
個人間融資を利用した経験がある人は、押し貸し被害を受けやすくなります。
例えば、家族構成やどのくらいの返済能力があるかなど、細かい情報まで把握されていることもあります。
一方、自己破産をしたことがある人は約7年間信用情報機関に登録されるので、その間はお金を借りることができません。
この場合に正規の貸金業者からお金を借りれないため、やむなく闇金を利用してしまう人も少なくありません。
また、闇金業者は、官報に掲載された住所をもとに融資の勧誘を行うことがあります。
過去に闇金を利用したことがある人や個人間融資を利用した人は、銀行の口座番号が流出していることが考えられます。
例えば、個人情報などが記載された名簿から電話、メール、SNSを利用して押し貸しをする場合もあります。
口座番号だけでなく、住所や勤務先の個人情報も漏れていることもあります。
いずれにしても押し貸し被害に遭っている人は、顧客名簿の横流しや売り買いされている可能性が否定できません。
押し貸しのターゲットにされる人は、特徴があると考えられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
まじめで返済を怠らない人は、ターゲットになりやすいです。きっちり返済をしない相手に闇金業者がお金を貸すはずがありません。
貸す側が損をしないような相手を常に考えているといえます。
違法な業者による巧妙な手口で、そもそも闇金であることに気づいていない人です。
最初に銀行口座にお金が振り込まれているだけで、闇金業者であると気づかない人も少なくありません。
突然、自分の銀行口座にお金が振り込まれる押し貸しでは、そのお金をどうようにすればよいか困った人も多いのではないでしょうか。
ここでは、押し貸しされたお金の扱い方について解説します。
押し貸しされたお金を使ってしまったら、次のように後々トラブルに巻き込まれる可能性があります。
身に覚えのない銀行口座への入金は、誤って振り込まれたお金なのかもしれません。
したがって、単に入金されていたお金が直ちに押し貸しであると安易に判断するべきではありません。
もしもそのお金を使い込むと「窃盗罪」で捕まってしまう可能性もあります。
「窃盗罪」は、刑法で10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。(刑法235条)。
罰金刑が科せられた場合でも前科がつくことには変わりません。
誤って銀行口座に入金された際は、民法上の「不当利得」に該当することもあります。
不当利得は、民法703条に規定されています。
「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」(参考:「民法703条」)
誤入金は、正当な理由なく他人の財産によって利益を受けているので、その利益を受けた限度で返還しなければならないということです。
不当利得の時効は、権利を行使できることを知った時から5年または権利を行使することができる時から10年間行使しないときに時効となります。(民法166条)
権利を行使できることを知った時とは、誤入金を気づいたとき、知ったとき時点となります。
例えば、2021年8月1日に知ったのであれば、2026年8月1日に時効を迎えます。
権利を行使することができる時とは、誤入金をした時点となります。
例えば、2021年8月1日であれば2031年8月1日に時効を迎えます。
しかし、2020年3月31日以前の不当利得であった場合は、改正前の民法が適用されるので注意が必要です。
一方、 過去には、誤った振り込みがあることを知った受取人が預金を引き出したことに関する以下の最高裁判例もあります。
誤った振込みがあることを知った受取人が,その情を秘して預金の払戻しを請求し,その払戻しを受けた場合には,「詐欺罪」が成立すると判示されています。
(平成15年3月12日最高裁判決「 詐欺被告事件」)
ただし、この判例ではATMで現金を引き出す行為だと解されています。
身に覚えのない銀行口座への入金があった場合は、まずはその銀行に相談することが大切です。
誤入金の場合は、一般的に組戻しなどの手続きを取ります。
「組戻し」とは、誤った振り込みなどがあった際に資金の返金を依頼する手続きです。ただし、組戻しに対応していない銀行もあります。
また、組戻しには手数料が発生します。受取人の了承が得られない場合は、返金されないこともあります。
押し貸し被害は、トラブルに発展することがあるため、さまざまな対処が必要になります。その対処方法を解説します。
闇金業者は、法外な利息を請求することがほとんどですので、まずは返済をやめる又はしないことが大切です。
一方、過去には、闇金業者の不法原因給付が認められた以下の最高裁判決があります。
したがって、闇金業者からのの不当利得返還請求は認められません。
不法原因給付とは、不法な原因に基づいて行われた給付のことです。民法708条に規定されています。
「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。」(参考:「民法708条」)
つまり、借主は、元本についても返還する義務がなく、闇金業者に損害賠償請求を行った場合も損害額から元本を減額されません。
よって、元本・利息全額の損害賠償請求が可能となります。
悪質な業者は、過去に闇金を利用したことがある同じ人に対して押し貸しをする傾向があります。
そのため、あらゆる手口で何度も押し貸し被害に遭ってしまうこともあります。
押し貸し対策としては、闇金業者との関係を断ち切るために銀行口座を解約しましょう。
銀行の口座番号は、他の闇金業者に横流しされている可能性も否定できません。
できるだけ早く解約をしておくことが大切です。
新たな闇金業者からメールや連絡が頻繁に来るようであれば、個人情報が流出しているのかもしれません。
銀行口座と同様に携帯電話を解約するか、電話番号の変更を行いましょう。闇金業者との関係を断ち切ることが最も重要です。
押し貸し被害に遭った際は、法律の専門家である弁護士や司法書士に相談するのが確実です。
自分で交渉しようとしても、高圧的な態度でこちらの要望に応じてくれることはまずありません。
場合によってはトラブルに巻き込まれる可能性もあり、1人で対応するのは非常に危険です。
そこで弁護士や司法書士に依頼することで、依頼者の代理人となり、債務に関するすべての交渉を行い、状況に応じて行政指導を申告したり、刑事告訴・告発を検討することとなります。
悪質な業者が自宅に押しかけたり、暴力や脅迫まがいの言動があれば警察に相談するのもひとつです。
これらは悪徳業者による犯罪行為ですので、緊急性が高い場合は警察に相談しましょう。
全国共通の相談窓口として警察相談専用電話「#9110」でも受け付けています。
しかし、事件性や緊急性が高くない場合は、警察に動いてもらえるかわかりません。
警察への相談は、最終手段と考えておきましょう。
この記事では、押し貸しの仕組みや手口、ターゲットになりやす人の特徴、被害の対処法などを解説しました。
押し貸しは、勝手に銀行口座に振り込みを行い、後から法外な利息で取り立てる違法行為です。
以前から闇金を利用したことのある人、闇金だと気づかないで返済を怠らない人は、悪質な業者のターゲットになりやすいと考えられます。
押し貸し被害に遭った際は、銀行の口座番号や携帯電話の解約などで闇金業者との関係を断ち切ることが大切です。
とはいえ、トラブルに巻き込まれる可能性もあり、自分で対処することは難しいです。そのため、法律の専門家である弁護士や司法書士に相談するのが確実です。
一方、闇金業者が自宅に押しかけてきたり、暴力をふるうような緊急性の高い状況になった場合は、警察に通報しましょう。