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借金を完済させない闇金の「ジャンプ」とは?手口と対処法

2021.12.02 闇金


闇金からお金を借りていて、返済が厳しくなってくると、闇金から支払いについて「ジャンプ」という手法を持ちかけられることがあります。

このジャンプというのはどのような意味でしょうか?これを使うことにはどのような危険があるのでしょうか。

このページでは、闇金の「ジャンプ」についてお伝えします。

闇金のジャンプとは

まず、闇金が勧めてくる「ジャンプ」とはどのようなものかを確認しましょう。

闇金が勧めてくる「ジャンプ」とは、10日に1度の返済日に、元金の返済をすることなく、利息のみ支払いをすることをいいます。

闇金から借入するときに、よくある「トイチ(10日に1割の利息の支払い)」の場合には、例えば5万円を借りると10日後に利息をあわせた5万5,000円の返済をさせます。

しかし、闇金から借りなければ生活が立ち行かなくなっている人が、この返済をすることができる可能性は低いです。

このような場合に闇金は、利息に該当する5,000円分の支払いをすればよいとする提案をしてくることがあり、このような返済のことを闇金のジャンプと呼んでいます。

これは、闇金の温情などではなく、10日後以降も5,000円の違法な利息を取り続けることができ、かつ返済ができないからといってその時点で強硬な取り立てをして弁護士・司法書士・警察に走られてしまって、取りっぱぐれることを防止する役割もあります。

金融用語のジャンプとの違い

なお、金融用語としてジャンプという言葉を使う2つの場面との差も併せて確認しておいてください。

消費者金融等のジャンプ

消費者金融等で毎月の返済日に、返済ができないようなケースで、「ジャンプ」が行われます。

これは、毎月の返済金額の一部を支払うことで、延滞扱いにせず、次月以降で遅れた分を取り戻す方法をいいます。

消費者金融からの借り入れを延滞すると、ブラックリストとなったり、一括請求となったりなど影響が大きいです。

冠婚葬祭や家賃の更新などの急な出費があった場合でどうしても支払えないような場合に、消費者金融等と相談をして、支払いの一部のみで、次月以降に支払いをすることで、延滞の処理にしないようにしようとするのが、消費者金融等で利用されるジャンプです。

一時的に支払いができないからといって、形式的に延滞処理としてしまって、債務整理をされてしまうようなことがあると貸金業者としても得られるはずだった利息収入を得ることができなくなることがあるため、このような例外処理を認めることがあります。

このジャンプについては例外処理として、将来に返済の見通しが立っているような場合にのみ利用されます。

手形のジャンプ

会社や個人事業主で銀行に当座預金を持っている場合には、決済のために手形を振り出すことがあります。

この手形には支払期日が設定されており、その期日に手形を示すことで、券面に記載された額の返済を受けることができます。

もしこの支払ができないと、手形は不渡となってしまい、6ヶ月以内に2回以上の不渡を出すと、銀行取引停止処分となってしまいます。

銀行取引停止処分はそのまま倒産に繋がるものなので、手形の支払いができないような場合には、不渡を回避するための方策をとる必要があります。

その代表的な手法の一つが手形のジャンプです。

手形のジャンプとは、支払日に支払日を先に伸ばした別の手形を発行することで、その支払日の支払いの代わりとすることをいいます。

たとえば、2021年9月末日を支払日とする手形を持っている人に、2021年10月末日を支払日とする手形を交付して、9月末日を支払日とする手形を引き渡してもらって、9月末日の支払いを回避する方法です。

このときに利息相当額を新しい手形に加算して振り出すのが通常です。

闇金のジャンプは利息のみは支払うものになるのに対して、手形のジャンプはその時には金銭の支払いをしないことが多いのが特徴です。

闇金はジャンプを勧めてくる

闇金というと、約定通りの支払いができない場合には、過酷な取り立てを行なってくるイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、闇金はこのジャンプを勧めてくることが多いです。

完済させず、長期的に利息を払わせるため

理由の一つとしては完済させずに長期的に利息を払わせるためのです。

上述した10日で1割の利息(トイチ)の場合の利息は365%です。

これは、利息制限法・出資法に定められた法律上正当な利息である20%を大きく上回るものです。

返済をさせてしまうと、この利息を払わせ続けることができません。

また払えない場合に、返済できないことをもって、強硬な取り立てをして、警察・弁護士・司法書士に介入されて手を引くのも得策ではありません。

利息のみの支払いを続けさせることは、顧客にとっては一時的に楽になることである上に、闇金にとっても利益を上げつづける選択肢となるので、都合がいいのです。

優良業者だと思わせるため

闇金のもう一つの目的は、自分たちを悪質な違法金融業者ではなく優良業者だと思わせ、頑張って返済すべき相手だと思わせようとすることです。

闇金のジャンプは、当初の約束の返済よりもぐっと楽になるもので、債務者としては渡りに船という感覚になります。

この際に、闇金のほうでも、「なんとか上司に掛け合って、利息だけの支払いにしました、なので利息の支払いだけはお願いします」というような働きかけをします。

自分の払っている利息が利息制限法・出資法違反の違法な利息であるという認識がなければ、柔軟な対応をしてくれる優良な業者から借りられたと勘違いしてしまい、違法な高金利を頑張って支払い続けることになります。

闇金はこのような効果も狙っています。

ジャンプを利用してはいけない理由

ジャンプは利用をしてはいけません。

その理由は次の通りです。

利息の支払いが遅れた時には取り立てが悪化する

もともと資金の工面が難しかったにも関わらず、利息だけの返済とはいえ、闇金の高金利の借入をすると、そのうち返済も行き詰まります。

利息の返済をしているうちは態度が柔らかだった闇金も、利息の返済ができなくなった途端に態度が一変します。

結果、知っている電話番号に片っ端から脅迫めいた文言で督促を行います。

特に親族や職場に対する執拗な督促は、信頼関係を一気に失いかねないものです。

支払い総額が増加する

当然ですがジャンプで先延ばしすればするほど支払い総額が増加します。

5万円をトイチで借りた場合の支払い総額は、10日後に返済をすれば5万5,000円で済んだものの、ジャンプを4回すれば8万円、ジャンプを6回すれば10万円となります。

ジャンプを利用するほど、支払ってしまう額も大幅に増えます。

口座・携帯買取を持ち掛けてくる

ジャンプに応じる・ジャンプを複数回しているような場合、闇金としては「言うことを聞く顧客」という認識をするようになります。

また借入をした側でも、ジャンプを温情と勘違いした結果、闇金の言うことを聞きやすくなってしまっている場合があります。

このようなときに、闇金側から、「返済の代わりに、銀行口座を開設して通帳を送って欲しい・携帯電話を契約して送って欲しい」という依頼を受けることがあります。

これに応じることで返済を免れることができたり、場合によってはお金を貰えたりすることがあります。

しかし、これによって最悪の事態では闇金の一味として逮捕をされる可能性があります。

まずそもそも口座の譲渡は犯罪収益移転防止法に違反する行為で、そのこと自体が犯罪です。

また、譲渡した口座・携帯電話は、闇金融の営業に利用されます。

闇金融は、高利貸しをしている点で出資法という法律に違反し犯罪です。

また無登録で貸金業を行い、取り立ての法的規制にも違反する点で、貸金業法にも違反する犯罪です。

その闇金に口座・携帯電話を提供するのは、これらの犯罪を幇助していることにほかなりません。

実際に、闇金が摘発された際に、口座・携帯を提供した元顧客が在宅起訴されるケースもあります。

また、口座が凍結されると、一定期間銀行口座を開設できなくなってしまい、日常生活に大きな影響を与えます。

無理やりジャンプさせられるようになる

ジャンプに応じているうちに、元金も含めて返済できる状況であるにも関わらず、無理やりジャンプをさせられるようになることがあります。

手口には様々ありますが、返済の口座を聞くための連絡をするように闇金に言われていて、闇金の指定する日時に電話しても電話連絡がつかなかったにもかかわらず、連絡が遅かったので今回が元金の返済をすることができずジャンプしかできない、といった手口などが利用されます。

返済をしたくても返済をさせてもらえず、延々と高利の利息を取り続けられることになります。

闇金に対しては元金も含めて返済義務はない

では、闇金に対する対応策を検討するにあたって、闇金からの借入は法律上どのように扱うのか確認しましょう。

闇金との約定では、元金の借入を行なって、10日後に元金と一緒に利息を支払う、ないしはジャンプをして利息のみを支払うことになります。

この契約は、利息制限法・出資法に違反するもので、民法90条の公序良俗違反として無効です。

そして、民法708条は不法な原因のためにした給付についての返還の請求はできないとしています(不法原因給付)。

闇金が顧客に貸し付けた元金は利息制限法・出資法・貸金業法に違反するもので、貸し付けた元本は不法原因給付として返還する義務も否定されます。

つまり、闇金に対しては利息どころか元金の支払いもする法的な義務がないことになります。

ただし、闇金も法的な義務すらないことを自覚して貸付を行なっているので、違法に取り立てを行なってくることが想定されます。

本人・親族・職場への脅迫めいた督促や、宅配・110番通報や119番通報といったものを執拗に繰り返し、金銭の支払いを求めてきます。

これに対応することは別途検討しなければなりません。

闇金からジャンプを提案された又はジャンプを利用している場合

闇金からジャンプを提案された、すでにジャンプを利用して10日ごとに利息を支払っているような場合の対応方法を検討しましょう。

まずは返済をやめる又はしない

まず、目指すゴールは返済をやめる又はしないということです。

闇金相手に返済を続けると「この顧客は脅せば返済をする」という認識を与えることになります。

親族や職場の援助によって元金の支払いをしても、また営業の電話やDMをしてくることや、最初に利用した口座に申込をしていないにもか関わらず振り込んでくる押し貸しを行うようになります。

再度借入や、押し貸しで同じように周りに迷惑をかけると、親族・職場から信用を失ってしまいます。

警察への相談

闇金が出資法・貸金業法違反の犯罪なのであれば、警察に相談をすればいいのではないかと思いませんか?

実は、闇金は最近では違法に取得した口座と携帯のみで活動するため、検挙が非常に難しいのです。

そのため、警察は闇金の対応を依頼されても積極的ではないことがほとんどです。

その場で闇金と連絡をとって、督促をしないように伝えてくれることがあればまだ良いほうで、ケースによっては「民事不介入」として取り合ってもらえないこともあるほどです。

しかし、あまりにも悪質な取り立てや暴力沙汰にまで発展している場合は警察への相談も有効です。

被害の証拠を記録して、相談してみましょう。

弁護士・司法書士に相談

実は闇金の一番の解決の近道は弁護士・司法書士に相談し、対応を依頼することです。

闇金が営業をする上で一番嫌がるのが、違法に手に入れた口座が凍結したり、携帯電話が利用停止処分となったりすることです。

これらの口座や携帯は年々入手しづらくなっています。

違法な督促をされて弁護士・司法書士に依頼をすると、これらの口座の凍結や携帯の利用停止の依頼を徹底的にしてもらえます。

そのため、闇金の中には弁護士・司法書士が介入しただけで手を引くことがあります。

多重債務に陥っているような場合にはそのまま債務整理を依頼することも可能で、費用も分割して支払うことを認めてくれていることが多いです。

弁護士・司法書士に相談して、早めに対応を依頼しましょう。

まとめ

このページでは闇金のジャンプについてお伝えしました。

闇金のジャンプは一見支払いが楽になるように思えるのですが、延々と高利で支払い続ける危険な仕組みです。

早めに弁護士・司法書士に相談・依頼して対応をしましょう。


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