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闇金被害は警察に相談すべき?その実態と確実な対処方法を確認

2021.12.17 闇金


闇金から借入をしてしまって、高い利息で借りていたり、過酷な取り立てを受けていたりして、解決方法を模索している中で、「これは違法なのだから警察に届け出ればなんとかしてくれるんじゃないの?」とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このページでは、警察に相談するのはよいのか・その他の解決方法をお伝えします。

闇金は警察に相談をすることができるのか

まずそもそも闇金問題は警察に相談をすることができるのでしょうか。

闇金は犯罪である

警察が取り扱うのは「犯罪」です。

闇金は犯罪であることを確認しましょう。

出資法違反

出資法(正式名称:出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)5条は利息についての上限を定めて、上限を超える利息で貸付をすることを刑罰をもって禁止しています。

貸金業を営む者については5条2項で上限を年利20%としており、これを超える利息で貸し付けていると、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処せられます。

闇金の利息としてよく耳にする用語が「トイチ」なのですが、これは10日に1割の利息を受取るという意味です。

このトイチは年利に換算すると365%にもなります。

酷いものになると、トニ(10日で2割)、トサン(10日で3割)…トゴ(10日で5割)というものまで存在します。

出資法の上限利息を大きく上回るもので、闇金は出資法違反の犯罪です。

貸金業法違反

貸金業法については次の2点に違反して犯罪になります。

まず、貸金業を営むには貸金業法に規定される登録をしなければならず(貸金業法3条1項)、貸金業法上の登録を受けないで営業することは許されておりません(貸金業法11条1項)。

もし貸金業の登録をしないで営業をすると、貸金業法47条によって10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金に処せられます。

また、貸金業者は取り立ての際には貸金業法21条1項各号に規定される規制を守って取り立てをする必要があるところ、闇金は取り立ての際にこれらを間もならないのが通常です。

貸金業法21条1項には様々なことが規定されますが、代表的なものとしては次のような規定に違反します。

  • 取り立てにあたって脅迫を行う
  • 21時から8時までの間に取り立てを行う
  • 正当な理由なく勤務先に取り立てを行う
  • 親族や勤務先など返済する義務のない人に取り立てを行う
  • 弁護士が介入しているにも関わらず介入を行う

貸金業法21条1項に違反する取り立てを行うと2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられます。

携帯電話不正利用防止法違反

闇金は営業をするにあたって、他人名義の携帯電話を手に入れて利用しています。

他人名義の携帯電話を利用することは、携帯電話不正利用防止法(正式名称:携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律)20条2項に違反し、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられます。

犯罪収益移転防止法違反

闇金は契約者への貸付・支払いをうけるために、他人名義の銀行口座を手に入れて利用します。

他人名義の銀行口座を利用することは、犯罪収益移転防止法(正式名称:犯罪による収益の移転防止に関する法律)28条2項に違反し、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処せられます。

その他刑法に抵触する

闇金が行うことによって、刑法にふれる可能性のあることについて確認しましょう。

無理やり自宅にいって、暴力をふるってお金を引き上げていくことは、強盗罪(刑法236条)に該当し、5年以上の有期懲役に処せられます。

強盗で怪我をさせた・死亡させた場合には強盗致死傷罪(刑法240条)に該当し、死刑又は無期懲役に処せられます。

脅迫をして無理やり払わせると恐喝罪が成立して、10年以下の懲役に処せられます(刑法249条)。

土下座をさせる・風俗で働かせるなどした場合には強要罪が成立して、3年以下の懲役刑に処せられます(刑法223条)。

嫌がらせ目的で110番・119番通報をしたり、出前をとったりすると、偽計業務妨害罪が成立して、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

現実に闇金は検挙しづらい

このように、多数の犯罪が成立する闇金ですが、闇金は非常に検挙しづらいのが現状です。

自宅に乗り込む・暴力を振るうなどのイメージする闇金は存在しない?

ドラマやマンガ・アニメでは、闇金と思われる貸金業者が、債務者に自宅に乗り込む・暴力を振るうなどのシーンが描写され、多くの方がこのようなイメージを持っています。

しかし、自宅に乗り込んできて暴れたりすると、警察が呼ばれることになります。

待ち合わせなど表で合うような行為については、防犯カメラ等で行動範囲や容貌が判明する危険があります。

闇金は数人が一つのグループとなって活動していることがほとんどで、一人でも検挙されるとグループ全員が芋づる式に検挙される危険があります。

現実の闇金は表に出ない

かつては電話というと固定の回線しかないような時代だったので、固定電話を使うために事務所を借りて電話を開設して営業をしていました。

しかし現在では携帯電話・スマートフォンで営業をすることができます。

そのため、現実に闇金は表に出ることなく活動しています。

闇金はインターネットさえあれば営業できるため、摘発されないためにも表だった行動をしないで、営業・取り立ては携帯電話で行える行為しか行なわなくなっています。

そのため、現行犯逮捕や、闇金がどのような人か・活動拠点はどこなのか、などの情報を手に入れるのが非常に難しくなっており、検挙が困難となっています。

警察の管轄の問題も影響している

闇金は都道府県をまたいで貸付・取り立てを行います。

そのため、どの警察が捜査を担当するか、という管轄の問題が大きく影響して、捜査に消極的になることがあります。

闇金被害を警察に相談する場合には

闇金被害を警察に相談しにいく場合の注意点はどのようなものがあるのでしょうか。

警察が闇金被害の相談を断る「民事不介入の原則」とは

まず知っておいて欲しいのは「民事不介入の原則」です。

警察は刑事事件となるものについての捜査を行います。

しかし、刑事事件にはならない個人間のお金の貸し借りについて判断する立場ではないため、干渉を行いません。

これが民事不介入の原則です。

警察が闇金に電話をかけて督促をやめるように伝えたとして、自分は闇金ではなく個人でお金を貸しているだけで、その人は払いたくないだけで警察に駆け込んでいる、と反論されたとしましょう。

警察側では、その場で刑事事件になっていると判断できる状況でなければ、民事不介入の原則を貫くと対応できなくなります。

また、闇金についての対応をしたくない場合の方便として、民事不介入の原則を挙げることもあります。

証拠を揃えよう

そのため、電話をしているのが闇金であるということを証明する証拠を揃える必要があります。

どのような証拠を揃えればよいのでしょうか。

出資法を超える利息をとっている

闇金は出資法違反の犯罪です。

闇金がとっている利息が出資法の範囲を超えていることを証明しましょう。

借入をした元本の額と、返済内容を示すものがあれば、出資法を超える利息をとっていることが証明できます。

闇金とのやりとりにメールやSNSのメッセージを利用した場合には、そのやりとりを印刷して提出します。

借り入れ内容や返済内容について電話でのみやりとりをしている場合には、できれば録音をして提出できるようにします。

録音した内容をワープロなどで書き起こして読めるようにしておくと良いでしょう。

録音したものがなければ、通話の履歴とどのようなことを話したかをメモに残しておきます。

銀行通帳をコピーした上で、闇金から借りた入金と、闇金への返済をした出金の記録をわかりやすいようにまとめておくのも役に立ちます。

可能であれば借入をした経緯(SNS・DM)なども説明できると良いでしょう。

違法な取り立てをしている

次に違法な取り立てをしていることを証明できるようにしましょう。

貸金業法21条1項各号に違反する取り立てを受けていることを証明できるようにします。

例えば、夜21時から翌朝8時までの取り立ては違法なのですが、その時間に取り立てを受けていることを証明するためには、携帯電話の着信履歴を画像にしてプリントアウトしておきます。

万が一電話に出たような場合には、どのような内容の会話をしたか、どのような内容の督促を受けたかも証明できるようにしておきます。

本人以外のところに電話で督促をされているときには、その通話履歴や通話内容についても証明できるようにしておきます。

自宅に110番・119番通報をされることや、出前などを呼ばれている場合には、その内容と時刻などを記録します。

これらは判明しているものは全て記載しましょう。

たとえば、21時から8時までの間に1回電話があっただけなのか、夜通し電話がなっているのかで、警察としても緊急に対応すべきかどうかを検討することになります。

形式的には貸金業法違反なのですが、夜中に1回電話があっただけだと、そのまま無視してもっとひどくなるようであれば相談してください、と追い返されてしまいまいます。

ですので、督促はできるかぎりすべて説明できるようにしておきましょう。

警察に闇金被害を申告する方法

警察に闇金被害を申告する方法として、告訴状の提出と被害届の提出の2つの種類を知っておきましょう。

告訴状の提出

告訴状とは、告訴をする旨の書面です。

犯罪の被害を被った人は告訴をすることができ(刑事訴訟法230条)、告訴があった事件については起訴するか、起訴しない場合には告訴をした人に通知をする義務が発生します(刑事訴訟法260条)。

このような規定があるため、警察としてはなるべく告訴状を受け取らないような運用がされています。

どうしても告訴をする際には弁護士に依頼して行うのが望ましいでしょう。

被害届の提出

警察に犯罪事実を申告する方法としては被害届を提出という方法もあります。

被害届は犯罪事実を申告するにとどまり、告訴のような刑事訴訟法上の義務を負いません。

そのため、告訴状を提出しようとしても、被害届の提出を推奨されることが多いです。

絶対に刑事事件にしたい希望がある場合には、被害届の提出だけでは意味がないので注意をしましょう。

闇金被害をスピーディーに解決するには弁護士・司法書士に相談

以上のように、闇金被害は警察に相談をしても、あまり効果がなかったり、刑事事件として闇金が摘発されるまでには長い期間がかかったります。

一方で闇金から取り立てを受けている場合に、親族や職場への集中的な攻撃がされることになり、一刻を争います。

このような場合には、弁護士・司法書士に相談をしましょう。

闇金が営業をするためにはどうしても携帯電話・銀行口座を違法に取得しなければなりません。

これらは違法に使われていることが判明すると携帯電話は利用停止処分に、銀行口座は凍結されることになります。

携帯電話や銀行口座は闇金や振り込め詐欺などの特殊詐欺のために利用されることから、取引がされないための法規制などが行なわれるので、入手が年々難しくなっています。

闇金はこれらが利用できなくなるのが一番に痛手なのです。

闇金被害にあっているときに、弁護士・司法書士に依頼をすると、携帯電話の利用停止・銀行口座の凍結に向けた活動をしてくれます。

それもあってか、闇金の多くは弁護士・司法書士に依頼されて、連絡があった段階で、以後督促をしないので、携帯電話の利用停止や銀行口座の凍結をしないようにお願いされます。

つまり、すぐに手をひくことが期待できるのです。

警察に相談をしても捜査の一環としてこれらが行なわれるのを期待するしかありません。

スピーディーに闇金被害の解決をしたいのであれば、弁護士・司法書士に依頼をするのが最も早いのです。

まとめ

このページでは、闇金の被害にあった際に警察に相談することについてお伝えしました。

闇金は犯罪行為なのですが、警察は摘発に積極的ではありません。

警察に相談する際のポイントを知っていただいた上で、弁護士・司法書士に依頼をしてスピーディーに解決してもらって、どうしても違法な督促を続ける闇金がいる場合には、弁護士・司法書士を通じて警察に対応してもらうのが最もよいでしょう。


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