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闇金に払ったお金は返ってくる?返還見込みと相談窓口

2021.12.14 闇金


闇金から借り入れをすると、違法な高金利の利息を返済することになります。

このような違法行為をする者に対して、支払ったお金を返してもらうことはできないのでしょうか。

この記事では闇金に払ったお金が戻ってくるのかについてお伝えします。

闇金からお金を借りる契約はどのように取り扱われるか

まず、闇金からお金を借りる契約が法律上どのような取扱になっているのかを確認しましょう。

お金を借りる契約は金銭消費貸借契約

お金を借りる契約は、法律上は金銭消費貸借契約という契約です。

金銭消費貸借契約に基づいてお金を借りると、契約内容にしたがった返済をする必要があります。

正規の貸金業者からの借金であれば、決められた期日に元金と利息を分割して支払っていくことになります。

金銭消費貸借契約は特に契約書を交わさなくても、口頭で申し込みと承諾が合致すれば成立する契約です。

闇金は法律に違反した営業をしている

闇金との金銭消費貸借契約の効果を検討するにあたって、闇金は法律に違反をした営業を行なっていることを知っておきましょう。

貸金業法違反

貸金業を営むためには、貸金業の登録をしなければなりません(貸金業法3条1項・貸金業法11条1項)。

闇金は登録をせずに営業しており、この規定に違反しています。

また、貸金業法は取り立てにあたって規制を設けています(貸金業法21条1項)。

闇金はこれらの規制に違反する取り立てを行います。

代表的なものとして、

  • 取り立てにあたって脅迫を行う
  • 21時から8時までの間に取り立てを行う
  • 正当な理由なく勤務先に取り立てを行う
  • 親族や勤務先など返済する義務のない人に取り立てを行う

といったものが挙げられます。

これらの行為には刑事罰も規定されているので、違法性があるといえます。

利息制限法・出資法違反

利息の上限については、利息制限法と出資法という法律で年20%に規制されています。

利息制限法と出資法の2つの法律があるのは、利息制限法が民事上の利息を規定しているのに対して、出資法は高利貸しに対する刑事罰を規定しており、目的が異なるためです。

闇金は、多くが10日に1割~(10日に1割ならばトイチ、2割ならばトニ、と呼ばれています)の利息の受け取りをしています。

トイチでも年利365%と大幅に利息制限法・出資法に違反するものであり、犯罪となる行為です。

犯罪収益移転防止法・携帯電話不正利用防止法違反

闇金は営業のために、他人名義の銀行口座や携帯電話を違法に取得して利用します。

このような行為は、犯罪収益移転防止法・携帯電話不正利用防止法に違反し、犯罪となるものです。

金銭消費貸借契約は公序良俗に反し無効

闇金との間で合意をして成立した金銭消費貸借契約があっても、その契約は公序良俗に違反するものとして、無効とされます(民法90条)。

つまり、トイチの利息を求められても、利息制限法・出資法を超える利息の支払いをする法律上の義務はありません。

借りたお金は不法原因給付として返す義務はない

金銭消費貸借契約が無効であれば、闇金は貸し付けた相手に貸した元金の返済をすることになるのでしょうか。

民法708条は不法の原因であった給付については取り戻すことができないと規定しています(不法原因給付)。

闇金は上述したように犯罪なので、万が一闇金が顧客に元金を返せと言っても、この法律が適用されて元金の返還も否定されます。

闇金にお金を返してもらえる?

以上の法律関係を前提に、闇金にお金を返してもらえるかを検討しましょう。

検討にあたっては、

  • 闇金にお金を返してくださいという請求権があるのか
  • その請求権は実際に行使することができるのか

以上の2点からの検討が必要です。

闇金に支払ったお金は不当利得返還請求が可能

闇金にお金を支払った場合には民法703条に規定されている不当利得返還請求権という権利で請求することが可能です。

闇金との金銭消費貸借契約は無効です。

ですので、闇金が脅迫して支払いをさせたとしても、そのお金について受け取る法律上の根拠が無いわけです。

法律上の根拠もないのに闇金は不当に利得を得ている状態です。

そこで、このような場合には、闇金に対して不当利得返還請求権を行使することが可能です。

強制的に返還させる手段

不当利得返還請求権があるとして、闇金はそれに応じて素直に支払ってくるわけがありませんので、強制的に返還させることになります。

そのための民法の手段としては、強制執行によるのですが、強制執行の前提としてまず民事訴訟を起こすなどする必要があります。

民事訴訟等

強制執行をするためには、債務名義という請求する根拠が公に認められたものが必要です(民事執行法22条)。

いくつか種類があるのですが、代表的なものが民事訴訟を提起して、勝訴の確定判決を得ることです(民事執行法22条1号)。

ですので、まずは闇金相手に民事訴訟を起こします。

強制執行

闇金相手に民事訴訟を起こして勝訴して判決が確定すると、強制執行をします。

預金に対して債権執行や、持っている自動車に対して動産執行をするのが一番可能性のある強制執行方法でしょう。

現実的には闇金にお金を返してもらうのは難しい

現実的には闇金相手にお金を返してもらうのは非常に困難です。

その理由は次の通りです。

相手が特定できず民事訴訟を起こしようがない

闇金について分かっていることは、名字と携帯電話番号と口座番号のみ、というケースがほとんどです。

そして、携帯電話・銀行口座は他人名義のものを使っているので、闇金について分かっているのが本当のものかどうか定かではない名字のみということが珍しくありません。

民事訴訟をするにあたっては、相手にも反論の機会を法定で与えなければなりません。

なので、相手を特定して、訴状を届けるのが基本です。

相手がどこの誰かもわからないけども裁判をしたいということはできません。

つまり、相手が特定できない闇金相手に裁判を起こすのは非常に難しいです。

差し押さえの対象となる財産の特定ができない

相手を特定するのが困難である上に、相手の差し押さえる財産が特定できなければ強制執行ができません。

どこの銀行に預金があるかわからない、どんな自動車を持っているか分からない、というような場合には差し押さえようがありません。

闇金からお金を返してもらえるケース

では、闇金からお金が返してもらえる見込みはないのか、というとそのようなことはありません。

闇金からお金を返してもらえるケースを検討してみましょう。

店舗型の闇金

一部のシステム金融や偽装質屋のように店舗を構えて闇金を営んでいるような場合には、相手を特定することが可能な場合があります。

このような場合、刑事事件となるのを恐れてお金を任意で返してくるような場合があります。

ただし、このような特定できる闇金は現在ほぼないと考えておくべきです。

待ち合わせ型の闇金

特定の場所で待ち合わせをして、お金を融資するタイプの闇金がいます。

待ち合わせ場所に出てきた闇金を確保して、相手を特定することができれば民事訴訟は可能となりますが、なかなか身元を特定することは難しく、訴訟を起こすのも難しいです。

090金融等の非対面型

携帯電話やSNSのメッセージのみでやりとりをする090金融と呼ばれる非対面型の闇金は、そもそも身元を確保する機会がありません。

現実に民事訴訟を提起できる可能性は皆無であると考えるべきです。

闇金が逮捕されると被害弁償がされる可能性がある

闇金に請求をすることが難しくても、実は闇金側から返してくることがあります。

それは闇金が逮捕され、刑事事件になった場合です。

闇金が逮捕され刑事事件になると、懲役や罰金を少なくするため、執行猶予がつくための弁護活動が行なわれます。

犯行後に反省をしているなどして、情状酌量の余地がある場合には刑が減刑されることがあります(刑法66条)。

反省の一環として被害者に被害の弁償を行うことがあります。

これによって支払った金額の全部又は一部が返還されることがあります。

被害弁償をしてもらうためには、刑事事件として認知を受けていないと、受け取れる可能性が低いです。

というのも闇金は複数の顧客に対して貸付をしており、その被害の全部を把握するのは不可能です。

そのため、刑事事件においても全件について起訴するわけではありません。

被害弁償を受けたいのであれば、告訴状・被害届を提出しておくことが望ましいです。

被害回復分配金支払申請

闇金は他人名義の銀行口座を利用して回収をしています。

上述しているようにこれは犯罪なので、銀行口座が凍結されることがあります。

この口座に預金が残っていたときは、被害者は被害回復分配金を受け取ることができます。

ただ、被害回復分配金は口座に1,000円以上入っていることが条件なのですが、闇金は口座にお金が入ってくるとすぐに動かすことがほとんどで、凍結される口座に被害回復分配金の支払いをするための金額が入っていることは稀です。

そのため、現実的にはこの制度によっても返済を受けるのは難しいといえます。

被害回復分配金は弁護士か警察からの要望によって止めた銀行口座に1,000円以上の預金があって、被害回復分配金支払申請をすることによって行われます。

被害回復のための行動

どうしても被害を回復したい場合にはどのような行動をすべきでしょうか。

まずは返済を止める

まず今支払いをしている場合には、その返済を止めるのが第一です。

上述したように、どのような方法によっても基本的には返還してもらえる可能性は極めて低いです。

そのため、現在闇金に支払いをしている状況で、経済的な被害を止める最も効率的な方法は、返済を止めることです。

約束通りの支払いができなくて自宅や親族・職場に請求が来ると、我慢しかねた親族や職場の人がいったん支払ってしまえば止まるのではないか、と考えて払ってしまうことがあります。

しかしこれは、闇金側に「脅せば周りに払う人がいる」と伝えるようなものです。

闇金はグループで行動しており、借り入れをした人の情報をグループ内の他の人と共有します。

他の闇金が別の業者であるようなフリをして融資の案内をしてくることもあります。

また口座が判明しているので、その口座に勝手に振り込んできて督促を始める押し貸しをするようなケースもあります。

一度周りに払ってもらったのにまた督促を受けるようなことがあると、信用を大きく落とします。

どのようなことがあっても返済を止めることは必要であると考えましょう。

警察への相談は解決にならない可能性が高い

闇金は上述したように犯罪です。

犯罪なのであれば警察に相談をすればよいのではないでしょうか?

しかし、現在闇金のほとんどが090金融であり、どこで活動しているのか、どのような者なのかわからないことが多いです。

またインターネットの普及で、遠隔の人に貸付をするのも容易になりました。

以上のような事情から闇金の摘発は非常に難しいのです。

そのため、警察は闇金への対応については消極的です。

警察に相談にいって、その場で闇金と話してもらうなどの対応をとってもらえれば良いほうで、多くの場合は民事不介入と言って相手にしてもらえません。

弁護士・司法書士に依頼する

闇金問題は弁護士・司法書士に依頼するのが解決の近道です。

闇金は違法に取得した他人名義の携帯電話・銀行預金を利用して営業を行います。

これらの入手は非常に難しくなっていることから、闇金は携帯電話の利用停止・銀行預金の凍結を非常に嫌がります。

弁護士・司法書士が依頼を受けると、依頼者に執拗な督促をする闇金の携帯電話の利用停止と銀行預金の凍結のための手続きに速やかにはいります。

これを嫌がって、弁護士・司法書士が介入すると、ただちに督促を止める闇金が多いです。

また、闇金が摘発されたときのために、警察に告訴状・被害届の提出の補助も行ってもらえます。

闇金問題を解決するなら弁護士・司法書士に依頼をしましょう。

まとめ

この記事では、闇金に支払ったお金は返ってくるかについて、法律の仕組みとあわせて解説しました。

民事上の請求権としては存在しても、闇金は実態が分からず実際の民事訴訟を起こすのが極めて難しいです。

まずは支払いを止めて被害の拡大を防止するために、早めに弁護士・司法書士に相談・依頼をしましょう。


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