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債務整理後に支払いが遅れると差し押さえが発生?

2015.07.04 任意整理


無事、専門家に依頼して債務整理を終え、分割払いの和解を締結したが、その後の事情でやはり支払いができなくなってしまった。このような場合は、債権者に自分の財産を差し押さえられてしまうこともあるのでしょうか?

差し押さえるために必要なものは?

債権者が差し押さえをしようとする場合、債権者は「債務名義」にあたる書類とその他の必要書類を揃えて管轄の裁判所に所定の申立をする必要があります。

この「債務名義」にあたる書類は、確定した判決や公正証書などです。今までに業者に訴えを提起されて判決を取られたこともなく、公正証書を作ったこともないのであれば、仮に支払ができなくなったとしても、業者が差し押さえをするためには、まずは訴えを提起して判決を取らなければなりません。よって業者に判決を取られるまでに、債務整理を依頼した専門家に相談するなり、別の専門家を探して相談するなりすれば、実際に差し押さえがされる前に何らかの解決がなされるのが通常です。
もっとも、公正証書の場合、原則的には債権者と債務者が公証役場に行って作成しますが、片方当事者の委任状があればもう片方だけで作成することもできます。よって、よく意味がわからないままに書かされた委任状でいつの間にか公正証書を作られていたということもあり得ますので注意が必要です。

何が差し押さえの対象になるか

差し押さえが入ると、自分の生活に必要な物のすべてにシールが貼られて持って行かれてしまうというイメージを持っている人もいるでしょうが、差し押さえが法律上許されていない物も多いのです。
たとえば、債務者の生活に必要な家財道具や、債務者が生業を成り立たせるために必要不可欠な道具(たとえば農家が使用する農機具や肥料など)、給料の4分の1を超える部分などです。差し押さえられたために債務者の経済的再生が妨げられるような事態にはならないようになっているのです。
債権者として差し押さえしやすいのは預貯金や給料などでしょうが、預貯金の場合であれば銀行や口座がわかっていないとできないため、債権者側の立場で見ればいわゆる空振りになる可能性もあります。

給料差し押さえは会社にもばれてしまう

問題は給料を差し押さえられた場合、つまり、債務者が会社に対して持っている「給料債権」それ自体を債権者が差し押さえてきた場合です。
この場合、債権者から見ると給料を支払っている会社は「第三債務者」と呼ばれる立場になります。裁判所に強制執行の申立がされた場合、裁判所は第三債務者に差し押え命令を郵送します。この差し押さえ命令には、誰に対する給与を差し押さえるかが書かれていますから、給与差し押さえがされてしまうと、会社に借金のことがばれてしまうことになります。
もちろん、プライベートで借金をしていることそれ自体を理由に会社を解雇されたりすることはありませんが、場合によっては上司から注意を受けたり、会社にいづらくなったりする可能性もあります。

支払が遅れそうなときはどうするの?

では、やむを得ない事情で約束通りの返済ができなくなりそうな場合はどうすればいいのでしょうか。
そういう場合は、まず、できるだけ早く、債務整理を依頼した専門家に相談すべきでしょう。支払期日がまだ先でも、「次回の支払ができない」と判った段階で専門家に相談すれば、差し押さえにまでは至らずに済むケースがほとんどです。
また、約束通りの返済ができないのが一時的なものではなく、失業や大けがなどによって収入が途絶えてしまった、というような、今後長期に渡りそうな事情によるのであれば、改めて、自己破産等の方法により借金問題の解決を図る必要もあるかもしれません。
いずれにせよ、任意整理による返済開始後に事情の変化があったら、その時点で一度、専門家に相談するほうがよいでしょう。


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